『TENET テネット』を観た
クリストファー・ノーラン監督の新作映画『テネット』を観た。
○ストーリー
CIAエージェントの男は敵組織に捕まるが、テネットという組織に救われる。彼は時間が逆行する不思議な現象を見せられ、第三次世界大戦を阻止するために組織に協力をすることになる。テネットが狙うのは、武器商人・セイターで、男は彼の妻を介して近づこうとする。だがセイターは常に彼らを出し抜き続け、物語は悲劇に向かって進む。
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クリストファー・ノーラン監督の作品の特徴は、その重厚さと完璧主義だろう。予告編を観ただけで、「あ、ノーランの作品だ」と思ってしまった。
こちらを圧倒する不協和音、広い空間、そしてどこかに隠れている歪み。
この作品は今年で期待する作品の1つになった。
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そして今日、観て帰ってくると、「どうして?」という落胆の気持ちが強かった。映画も観なれているし、SF小説も読む、それなのにこの作品は分かりにくかった。
過去にさかのぼるは分かるんだけど、そうすると時間が逆転する?でも未来から来た敵ときちんと殴り合っていたしなあ。時間の順行と逆行の差が、どうしても最後までわからなかった。
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作品のキャストはちょっと凝りすぎだと思った。
主人公の《男》は、デンゼル・ワシントンの息子のジョン・デヴィッド・ワシントン。相棒のニールは、『トワイライト』のロバート・パティンソン。そしてヒロインは身長191センチの女優・エリザベス・デビッキ、そしてヒロインの夫で敵役のセイターがケネス・ブラナーだ。
《男》はちょっと違う気がするが、カッコ良い人を揃えすぎだろう。もうちょっとフツーにしないと、リアリティーがない気がする。
世界の武器マフィアの主が手放さない女としてのヒロイン・キャスは説得力あったけどね。
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観終えて、しばらく時間を置いて、他の人の解説サイトを見ながら感じたのは、これはSF映画の体裁を借りたシェイクスピア悲劇なんじゃないか、ということだ。
ノーラン監督はイギリス人なので、やはりアメリカ人とは感覚が異なる。運命は運命と思うのがイギリス人で、その背景に人知を越えた大きな神の手があることを最終的に容認するのが、古くからの文化を持つ人々だと思う。
さて、この作品はオセロなのか?それともテンペストなのか?がぜん面白くなってきた。