『刑事ゆがみ』最終回を観た
今シーズンでは個人的に楽しんでいた刑事ドラマの最終回を観た。〇ストーリー7年前の〈ロイコ事件〉で河合夫婦が殺害された。直後に焼身自殺をしたはずの犯人・横島は生きており,生き残った河合家の娘・ヒズミを殺そうとする。それを阻止しようとした弓神と羽生のコンビは,横島の手下に捕らわれてしまう。羽生が弓神に問い詰め,明かされた〈ロイコ事件〉の真相とは?-----------ハリウッド俳優の仲間入りをした浅野忠信と,若手俳優の中で独特の人気を得ている神木隆之介のコンビでの刑事ドラマが終了した。行動がいい加減なのに,するっと相手の気持ちの内側に入り込み,また他の人々が気付かない点を見抜き,次々と事件を解決する弓神を演じる浅野忠信。若手ながら出世を意識してポイント稼ぎに余念のない,ドーテイの羽生を演じる神木隆之介。刑事ドラマとしては異色の設定で,なかなか楽しめる展開だった。個人的には2人の上司・菅能を演じる稲森いずみも含めてお気に入りのキャスティングだった。-----------ただ終わってみると,残念ながら人々の記憶に残るほどのドラマとなったとは思えない。型破りの刑事と真面目クンのコンビ,というパターンはこれまでもいくつもあるので,その設定だけでは目立たない。ドラマのトーンとして,コミカルで行くのか,情感たっぷりで行くのかも,ぶれまくりだったのも歯切れがよくない。弓神のキャラクターはそれなりに立っていたが,真面目クンの羽生が,イヤミな優等生キャラとして成立していないのが大きな欠点だ。結果的に,スーパー刑事・弓神のドラマになってしまっていた。-----------シリーズを通した謎としてのヒズミというキャラクターも,山本美月の新境地という意味では重要だと思うが,なぜか天才的ハッカーという都合の良さで,冷静に考えれば物語のバランスを変えてしまう存在だった。またラスボスとして登場した横島を演じるのはオダギリジョーだ。正直,またオダジョーなの?と驚いてしまった。こうした独特の存在感がある俳優として貴重なのは分かるけれど,他で似たような配役で使われていたら普通は避けるだろう?そして最終回の事件が一番納得できないという悲しいオチ。どう考えても登場人物の行動も,目的も,達成できたことも,そしてつじつま合わせも含めて,無理スジだらけだ。なんだろう,この脚本。-----------せっかく魅力的な設定と配役があり,それなりの〈化学反応〉もあったのに,このラストではどこにもつながらないだろう。3ヶ月間楽しみにしていただけに残念だ。