『X-men:アポカリプス』を観た
アメコミ映画〈X-menシリーズ〉の新作を観た。○ストーリー3,000年前に地上を支配していたミュータントの始祖・アポカリプスが復活し,4人の従者と共に人類を浄化しようとする。プロフェッサーXことチャールズも〈ザビエル学園〉からアポカリプスに誘拐され,残されたミュータントたちも軍人ストライカーに連行されてしまう。ミスティークたちは基地に侵入し,謎の男〈ウェポンX〉のおかげで,ミュータントたちと合流し,チャールズ救出へと向かう。その先では神に等しい力を持つアポカリプスとの決着が待っていた。-----------映画の〈X-menシリーズ〉は,現代編の3部作があり,1960年代を舞台にした過去編の『ファースト・ジェネレーション』,70年代の過去編と現代編のキャストが未来に登場する両方の続編『フューチャー&パスト』があった。これで完結かと思っていたが,さらに80年代を舞台にした過去編の『アポカリプス』が公開された。恒例の前作のスタッフロールの最後の予告ではエジプトの風景だけが映っていたので,時代を超越した物語だと思っていたが,予想が外れた。間に〈ウルヴァリン〉のシリーズも入るので変則的だが,〈X-men〉は現代編3部作,過去編3部作で,今の所は小休止,ということのようだ。-----------〈X-menシリーズ〉と言えば,人間とミュータント,性善説のミュータントと性悪説のミュータント,という2つの対立軸がテーマとなって物語を回す大河ドラマだ。プロフェッサーXことチャールズと,マグニートことエリックは親友だが,一方でミュータントとしては〈人間を信じる派〉と〈信じない派〉のリーダーという複雑な関係だ。またストライカーをリーダーとする軍部の一部は,アメリカ政府の意向を汲んでいるのか,無視して暴走しているのか良く分からないのだが,突然現れてミュータントを拉致し研究対象としている。いつもは人権を認めて放っておくのに,行動が読めない(笑)。-----------さてこの作品では,そうした物語の軸に,古代から蘇った神・アポカリプスの視点が加わり物語が加速する。人類文明の浄化を唱え,全ての核兵器を発射させたアポカリプスを止めようとするのは,〈人間を信じる派〉のミュータント,つまりX-menだけだ。人類は何もできず,またストライカー一派も〈信じる派〉の邪魔はするけれど,〈信じない派〉が合流したアポカリプスを止めようとはしない,という不思議な状況が生まれ,X-menたちだけが神と戦う,というひじょうに分の悪い戦いとなっている。幸いにして,アポカリプスが4人の従者を選ぶにあたり,”強い奴”じゃなくて”そこにいた奴”を基準にしているおかげで,若手X-menでも何とかなる。また過去編においては,毎回いい人っぽさをアピールしているマグニートがいたおかげでアポカリプスを止めることが出来そうになる。けど,それだけではチカラが足りなかったんだよね。それにしても,アポカリプスは全知全能を謳うワリには,いろいろと詰めが甘い。さらに言えば,これまでに様々なミュータントの能力を吸収してきた,というワリには,荒事は4人の従者に頼っているので,ホントかな?という気がする。やっぱり昔はミュータントが少なかった,あるいは能力が控え目だったのではないだろうか?-----------地球を破壊するほどのチカラを見せるマグニートことエリックに比べて,プロフェッサーXことチャールズの立ち位置はよく考えると微妙だ。まずアポカリプスに乗っ取られて,全世界の核兵器のスイッチを押させてしまう。さらに終盤では,アポカリプスに精神攻撃を仕掛けるのに,返り討ちにあって,ある人物に助けを求める。もう〈X-men〉じゃなくて〈G-men〉でいいんじゃないのかな?語呂もいいし。-----------新設定で登場したクイック・シルバーとナイト・クローラーの2人が,なかなか良い味を出していたけれど,スコットとジーンにはあまり感心しなかった。現代編の2人の方がカッコいいよね。現代編はキャストの年令的に新作は無理,過去編もこれで現代編につながるし評価もイマイチなので終わり,ということなので,〈X-menシリーズ〉もこれで終わり,という雰囲気になっている。〈アイアンマン〉〈アベンジャーズ〉などのシリーズが当たっているので,それも仕方ないか?だが例によってアメコミ映画は強引なリブートをするので,それに期待したいところだ。