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October 29, 2006
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カテゴリ:パニック映画
 映画で、おもしろく話をつくろうと思うと、どこかで、無理な設定があるものです。映画を見ている途中で。「あれ?」などとひっかかるところがあると、そこのところの問題を解決しようと思考が働き、映画を十分楽しめなくなります。ヒッチコックは、辻褄の合わないところなどを、いかに観客に気づかれずに展開を運ぶかが腕の見せどころだ、などと話していたように思います。
 ここ何年かに見た映画の中で、デイヴィッド・エリス監督の「セルラー(2004)」は、ハラハラドキドキで、とってもおもしろかった。映画を見ている時間がスムーズに流れ、満足しました。ストーリーに整合性のないところもあったかもしれませんが、それよりも事件の推移や登場人物の心の動きなどから目が離せませんでした。お気に入りの一本です。
 同じ監督ということで、「スネーク・フライト(2006)」を見ました。
 マフィアの殺人現場を見てしまった青年を旅客機で護送するFBI。目撃者を消そうとするマフィアは、ジャンボジェットに数千匹の毒蛇を解き放つ・・・。
 目撃者を襲撃したり、ジャンボジェットがパニックになったりするのは、これまでも映画で扱われてきました。目新しいのは「数千匹の毒蛇」ですね。蛇は嫌われることの多い動物です。姿かたち、動き方などから、お互いに理解し合えないように思います。また、猛毒をもっていることで、近くに寄りたくはないですね。

 高校生の頃、田舎の親戚のうちに行きました。いとこの女の子が、蛇がいると騒ぎ始めたのです。見ると、庭の装飾に置いてある岩の下に小さな蛇が挟まっているのです。やまかがしの子供みたいです。いとこは、「かわいそうだから岩を持ち上げて逃がしてやれ」と言います。「あとで祟られる」とも。蛇は、信仰の対象であったり、悪魔の使いであるともされる。へたに殺すとまずいのだ。でも、やまかがしは毒をもっているので、正直こちらも恐いわけです。仕方がないので、ガッと岩に力を加えると隙間ができて、やまかがしは急いで逃げていきました。さすがに命の恩人に食いついたりはしなかったね。

 「スネーク・フライト」は、おもしろい映画でした。でも、「セルラー」のように無心で見ることはできませんでした。いくつかひっかかりながら見ました。
 FBI捜査官フリンは、ショーンをハワイからロサンゼルスまで無事に運ぶために、小型のチャータージェットを用意させる。このチャータージェットはおとりである。あたかもそれに乗るように見せかけ、じつはショーンを定期便に乗せる。地元警察には、キムと通じているものがいるので、裏をかいたというわけだ。
 その割には、警察犬にサウスパシフィック航空ロサンゼルス行き121便を捜索させているのはどういうわけでしょう。直接映画の中で描かれてはいませんが、121便に蛇が仕掛けられたのは、警察犬に捜索させたことから、作戦が漏れたのではないでしょうか。ストーリー上は、犯人が121便に注目した裏づけになります。しかし、フリン捜査官の中途半端なフェイントは、責められてもいいのではないでしょうか。
 さらに言いたいことがあります。定期便にショーンを乗せれば、犯人側の襲撃があったとき、一般乗客に迷惑がかかるのは当然です。だれも大量の蛇が仕掛けられているなどとは思わないでしょうが、ショーンが飛行機に乗る危険性を考えれば、チャータージェットになるのが正しい選択じゃないのかな。
 121便がハワイを飛び立って2時間後に貨物室で爆発が起こります。木箱が破壊され、中から夥しい数の蛇が這い出てきた。中東原産、アフリカ原産、南米原産・・・あらゆる種類の毒蛇たちだ。ちょっと待て、南太平洋に浮かぶ島になんでそんなに多種多様な毒蛇が、数千匹もいるのだ。
 と思っていたら、それには説明があった。「これだけの多くの外来種を揃えるためには、専門業者が仲介したにちがいない」そう睨んだFBIが、アメリカ本土の蛇博士を通して探り当てたのは、ロサンゼルス東部の砂漠地帯に住む蛇の密輸業者だった。FBIと蛇博士は、密輸業者を捕まえると蛇の種類を聞きだし、血清を用意した。
 さすがにそこらへんは曖昧にはしないな、と感心するのもつかの間、新たな疑問が湧き出る。セリフなどから推測して、ショーンがキムの犯行を目撃して、翌日の夜には121便に乗り込んでいる。その間に、アメリカ本土から数千匹もの毒蛇をハワイに送れるものだろうか。そうだとしたら、じつに迅速な計画遂行である。
 機内のパニック、毒蛇と人々の攻防などの途中経過はすっとばし、映画は進んで、死傷者多数、毒蛇の執拗な攻撃に疲労困憊の人々。ここまで頑張ってきた優秀なFBI捜査官フリンもついにぶち切れる。「もうたくさんだ!クソヘビを、クソ飛行機からぶっ飛ばしてやる!今から、クソ窓をぶっ放す!」
 飛行中に銃撃などで窓が割れるとどうなるかについては、「007ゴールドフィンガー」で学んだ。大統領の招待機中で格闘となったボンドとゴールドフィンガー、銃が発射され窓を撃ち抜いた。気圧が急激に低下しゴールドフィンガーは窓に吸い込まれ、飛行機からから放り出されてしまった。絵空事ではないリアルな展開を見て、子供心に「映画はマンガとはちがう」いたく感動した。今思うと、映画好きになったきっかけかもしれない。
 そんなわけで、生き残った乗客は、椅子などに体を縛りつけ、フリンは拳銃で窓をぶち破る。機内の固定されていないものと一緒に蛇たちが窓から外へ飛び出していく。放り出された蛇たちがしつこく生き延びて、落下した先でまた人を咬むのではないかと思うのは、心配しすぎ?

 映画の中でのひっかかりは、自分なりに解決できるまで、歯の間に物が挟まったような、喉に魚の小骨が残ったような気分になります。古い話で恐縮ですが、「エアポート80(1979)」では、なんとミサイルがコンコルド旅客機を狙う。追撃をかわすために、機長のジョージ・ケネディがコックピットの窓を開けて、信号弾を撃つシーンがあった(ミサイルは信号弾の熱だか光だかを追っていったと思う)。旅客機(コンコルド)のコックピットの窓が開くものかどうなのか、今でも気になっている。

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Last updated  October 29, 2006 06:56:00 AM
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