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August 18, 2007
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カテゴリ:特撮映画
 精神的に強いダメージを受けて疲れたので、「ゴジラVSキングギドラ(以下「GVSKG」)」を見たんだよ。何も考えずに映像を眺められるだろうと思ったからなんだけど。

 この映画ができてから、早15年がたつのです。昭和ゴジラからすると、特撮場面に格段の進歩が見られ、スマートな映像になっていたことに感動しました。また、ゴジラを扱いながらちびっ子映画ではなく、一般映画を志向したところも嬉しかった。
 (でも、昭和ゴジラの特撮は、職人芸です。映像(合成)技術ではなく、ホンモノに見える撮り方がすばらしいのです。ちびっ子ゴジラも、今はきらいではない。当時は悲しかったけど)

 本作は、新しいシリーズの3本目。「ゴジラ(1984)」で、9年ぶりの復活を果たしたけれど、内容的にはガックリ。続く「ゴジラVSビオランテ(1989)」は、ビオランテが植物怪獣なので、怪獣対決としては物足りなかったのです。そんな中で、さすがゴジラとキングギドラの激突は、久々に怪獣バトルを堪能しました。さらに、音楽に巨匠伊福部昭が復帰した。これは大きい。ゴジラといえばやっぱり伊福部昭。映画の迫力が桁違いだ。

 そんなことで、公開当時、二日続けて「GVSKG」を見に行ったんですよ、恥ずかしながら。
 1回目は、日劇東宝(有楽町マリオン)。2回目は、蒲田東宝でした。
 日劇では、おとな一人の客だったのですが、ちゃんと入場者プレゼント“ゴジラ怪獣軍団”を1個くれました。けれど、蒲田は子供達には配って、私にはくれなかった!ひどいでしょ。ケチったのか、おとなだからいらないと思ったのか。多分ケチったのだ。それで、もぎりにいたおっさんの手からひったくってきた。いいおとなが。
 日劇でもらったのは、アンギラス、蒲田はバラゴンだった。バラゴンは大好きな怪獣なので、ひったくってきてよかった。今ももってるよ。

 このたびの鑑賞は、心をからっぽにして見ることがテーマです。だからゴジラ誕生に関わる太平洋戦争、ラゴス島玉砕寸前のエピソードのような感傷的な場面はふっとばしてしまった。

 この映画、大ヒットした「バック・トゥ・ザ・フューチャー(BTTF)」シリーズ(1985~2000) や「ターミネーター(1984)」「ターミネーター2(1991)」の影響が強くでています。あと「ダーティーハリー(1971)」のセリフも出てくるのです。
 「BTTF」と「ターミネーター」の共通点は、タイムトラベルを扱っているところ。このタイムトラベルものには、タイムパラドックスがつきもの。「ダーティーハリー」との共通点はない。いや、あった。「BTTF3」で西部劇の時代に行った、マイケル・J・フォックスが“クリント・イーストウッド”と名乗ります。
(できれば私も過去に戻りたい)

 タイムトラベル及びタイムパラドックスのお話。
 「GVSKG」では、水爆実験の影響によるゴジラの誕生を防ぐために、タイムマシンで第二次大戦時にさかのぼる。そして、この時代までラゴス島に生息していた恐竜ゴジラザウルスをベーリング海に移動させてしまう。ゴジラザウルスが核によってゴジラになったのだから、核実験のない場所に移せば、ゴジラは生まれなかったことになります。
 そして、タイムトマシンが過去から帰ってくると、現代で待っていた人が言う。
 「確かにゴジラは姿を消した」
 ふんなバカな。ゴジラザウルスが核爆弾の影響を受けず、ゴジラが生まれなかったら、歴史上にゴジラは存在しない。つまり、現代人は、ゴジラなんぞというものをまったく知らないはずではないのか。
 
 さらに、続く。「ゴジラはいなくなったが、かわりにキングギドラが福岡に出現した」
このキングギドラは、タイムマシンがラゴス島に置き去りしたドラッドという生物が核の影響で怪獣化したものだ。放射能の影響によって、簡単に怪獣が生まれてしまうのかという問題はこの際置いておく。
 もし、ゴジラのかわりにキングギドラが登場するとしたら、それは核実験のあった直後、つまりゴジラが襲ってきた1954年でしょう。なんで、タイムトラベルから帰ってきたタイミングで、キングギドラが出てくるわけ?
 (ゴジラはゴジラで、ベーリング海の核廃棄物や原子力潜水艦の影響で、やっぱり出現する。そうでなければ、「ゴジラVSキングギドラ」にはならない)

 映画を見た数日後、このつっこみをゴジラファンの女性に話した。そうしたら、「そんなこといいじゃない。おもしろかったのだから」

 そう、この映画は、地球怪獣のエース、ゴジラと宇宙怪獣のエース、キングギドラ(この映画では宇宙怪獣ではなかったが)の大物同士の激突がセールスポイント。キングギドラ出現と大都市大破壊やゴジラとキングギドラのバトルが大迫力です。だから、私は二日続けて見に行ったのです。ただ、ラストのゴジラとメカキングギドラの新(当時)都庁を舞台にしたリターンマッチは、もうちょっと時間をかけてたっぷり見せてほしかったな。意外にあっけなかった。

 何にしても、すばらしいのは、ゴジラの成長ぶりです。かつて昭和ゴジラは、1対1でギドラと闘うことができなかった。モスラやラドン、あるいはその他大勢の怪獣達と組まなければ、ギドラに対抗できなかったんですよ。かつてギドラは、それほど強大な怪獣だった。しかし、この作品でゴジラは、初のシングルマッチを飾った。それだけゴジラのステータスが高まったのです。

 この映画を見ると、1981年9月23日、伝説の田園コロシアムでの「スタン・ハンセンVSアンドレ・ザ・ジャイアント」を思い出す(私はこの試合を生で見てるんですよぉ)。195cm、140kgの不沈艦ハンセンがゴジラ、223cm、236kgの大巨人アンドレがギドラです。難攻不落のアンドレにハンセンが果敢に挑み、スーパーファイトを繰り広げました。(映画の設定は、ゴジラ:100m、6万トン キングギドラ:140m、7万トン。体格の組み合わせが似てるでしょ)

 さらに、「ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃(2001)」では、ついにゴジラは1頭で、三頭の怪獣(モスラ、キングギドラ、バラゴン(なぜかタイトルに出てこない))を相手にする。まるでアントニオ猪木対国際はぐれ軍団三人組のハンディキャップマッチみたいだ。
 キングギドラは、一頭で地球怪獣を二頭から多いときには九頭もを相手にしていたのに、ついに、ゴジラと闘う三頭のうちの一頭になってしまいました。

 どう、「GVSKG」、見てみたくなったかな?

 頭と心を空っぽにしようと思ったのですが、やっぱりできませんでしたよ。
 何も考えないためには、昭和ガメラの方がよかったかな。

 

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Last updated  August 21, 2007 04:29:18 AM
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