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May 25, 2008
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カテゴリ:カーアクション
 当方は、世間的な基準から見れば、“必要以上の映画好き”なわけです。
 基本的に、何がしたいかと言って、映画が見たいのです。だから、旅行に行く時間があるくらいなら、映画を見た方が、自分としてはずっと満ち足りた気持ちになります。
が、まあ、旅行することだってあります。そうすると、乗り物の待ち時間に合わせて、出発まで映画を見る。旅行先で、映画館を探して、映画を見る。そして、映画の時間に合わせて帰ってきて映画を見る、なんてことになりがちです。外国に行ったときも、現地で映画館に入りましたから。
 でも、最近は、シネマコンプレックスですから、どこへ行っても映画館はあまり変わり映えがしません。戸別の映画館がある頃は、旅先での映画館巡りが充実していたのだけれども。
 “必要以上の映画好き”にとっては、映画そのものだけじゃなくて、映画館や映画体験も、楽しいものなのです。

 クエンティン・タランティーノは、“必要以上の映画好き”を刺激する人です。彼の監督した「キル・ビル(2003)」は、心からワクワクする映画でした。
 そして、「デス・プルーフ in グラインドハウス」も、じつに刺激的な映画でした。
 映画体験的に嬉しいのは、キズだらけのフィルムです。
 今は、デジタル技術の時代、古い映画のキズや、ロールチェンジの目印に付けられたパンチ穴なども修正することができます。映写技術や映写機なども、品質が向上しているのでしょう、キレイな映画を見ることができます。
 けれど、キズのあるフィルムを見たことが、かけがえのない映画体験になっていることを発見しました。スクリーンの中に雨が降っていると言われる映画のキズや突然映画館内に鳴り響くパチンというノイズ。、“必要以上の映画好き”にとっては、そういう状態であっても、一本の映画を追いかけて見たかったし、見ることができてよかったと堪能しました。
 アクションやホラーなどのB級映画は、キズやノイズとセットになって、気軽に楽しむことができたのです。
 
 「デス・プルーフ」は、デジタル技術によって、古い映画を修正するのとは逆に、キズがあるようなフィルムにしたり、コマをとばしたりしています。それによって、かつて体験した“映画を見ている手応え”が蘇ってきました。

 例えば、最新のCG技術を使えば、怪獣などをリアルに映し出すことができます。ですが、かつての着ぐるみや、ピアノ線が見えるような模型の映像の方が、“映画を見ている手応え”があったように思います。スムーズに流れるものより、引っ掛かるものの方が印象に残るのかもしれません。

 これは贅沢な選択といえるでしょう。昔は、キズやノイズのない映画を見たいと願ったことでしょう。それがかなったら、今度は昔みたいな映画が懐かんで、わざわざキズをつけているのですから。
 “失われゆくアナログ映画体験”を、あらためて提示したタランティーノ。そのセンスは、さすが極め付けの映画おたく(“必要以上の映画好き”)。豊穣な映画体験からくる遊び感覚が、じつに楽しい。

 アイデアを生かして気軽にB級映画をつくってもらって、気楽に見たいものです。
 

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Last updated  May 25, 2008 07:09:56 AM
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