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February 20, 2010
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カテゴリ:特撮映画


 僕の原体験は、ゴジラ、ガメラ、ウルトラQだ。だから、僕の脳みそや精神世界、感性などは怪獣及び特撮映画に敏感に反応する。
 「メガ・シャークVSジャイアント・オクトパス」(長いタイトルだから、以後「メガジャイ」)はじつに特撮怪獣テイストにあふれた映画である。

 アラスカの氷山地帯で、アメリカ空軍が違法であるはずの低周波探知機を海に沈める。その影響で氷山が割れ、150万年前のメガロドンと巨大タコが蘇ってしまった。
 いいねえ、「キングコング対ゴジラ(1963)」で、ゴジラがやっぱり氷山から復活した場面を彷彿とさせるじゃないか。ゴジラが氷山に閉じ込められていたのはわずか7年間だったけど。

 さらに名場面は続く。
 旅客機が空を行く。ハネムーン真っ最中の新婚さんなど楽しい空の旅。海の話なのに、なんで飛行機なの?とか思っていると、メガ・シャーク(長いから以後メガちゃん)が海面からジャンプ一番、ジャンボジェットに急接近して噛み砕いてしまう。
 続いてメガちゃんはサンフランシスコを襲う。やっぱりジャンプ一番金門橋をも噛み砕いてしまう。
 ジャイアント・オクトパス(長いからジャイタコだ)、ジャイダコだって負けてはいない。石油採掘基地を長大な触手で包み込み、破壊してしまった。
 いずれも一瞬のできごと。

 怪獣映画には、怪獣映画の常套手段がある。いつも科学者が奇抜な攻略法を提案する。今回は、「フェロモンでおびき出して、封じ込めよう」しかし、メガロドンとジャイダコのフェロモンってどうなんだろう。とりあえず両者とも一体ずつしかいないわけだ。それに、もし現在普通にいる鮫とかタコのフェロモンを使ったとしたら、メガちゃんとジャイダコだけじゃなくて、ほかにも鮫やタコまでもがうじゃうじゃと集まってくるんじゃないだろうか。

 そして、怪獣映画の常套句は「やつらを通常の兵器で倒すことはできない」「核兵器を使うというのか!?」というやりとりだ。
 ちょっと待て。メガちゃんもジャイダコも、怪獣ぽいけど怪獣ではないだろう。単なる巨大生物だ。それに対して核まで持ち出すか。
 核攻撃を決行するかどうかの究極の選択を迫られたとき、女科学者が輝く笑顔で叫ぶ。「お互いに対決させるのよ!」
 この展開は『キングコング対ゴジラ(1963)』で「もう一度キングコングとゴジラをぶつけてみたらどうです」「英雄並び立たず。双方共倒れ、そこが付け目です」と大貫博士が提案するのに似ている。
 言わせてもらえば「キングコングをゴジラにぶつける」の方が文章として通りがいいし、また、中国の史記から出たことわざは、「英雄」ではなく「両雄」だ。「両雄並び立たず」が正解。

 それらの怪獣特撮影がテイストの嬉しい場面も数々あったのだが、基本的に不満なのはメガちゃんとジャイダコの登場場面が少ないことだ。登場人物たちは、メガちゃんのことを「大きい」「でかい」とさかんに言うのだが、姿を見せないし、どれくらい大きいか他のものと比較するような場面もないし、でよくわからなかった。
 メガちゃんもジャイダコも、海の生物だからね。怪獣映画ではお馴染みの地上で建物を壊して回るようなシーンはできないことは確かだ。で、あれば、それなりの工夫はできたのでは。

 そして、僕は思うのだけれども、メガちゃんとジャイダコの登場シーンが少ないのは、CGだからじゃないだろうか。
 日本の怪獣映画のように着ぐるみだったら、ひとつ着ぐるみを作れば、映画の中で何度も使わないともったいないじゃないか。
 対してCGは、実体がない。登場場面を多くすれば、それだけ手間と金がかかるのだ。その点を節約しちゃったのではないかな。
 どんなに設定がいいかげんでも、脚本がゆるくても、とにかく怪獣(巨大生物)の姿を画面でしっかりと見たい。

 いずれにしも、怪獣映画テイストはたっぷりでも、メガちゃんもジャイダコも怪獣ではないからね。カニカマが「風味かまぼこ(かに風味)」と記されるように、『メガジャイ』は「風味特撮怪獣映画(特撮怪獣風味)」だ。怪獣映画的な雰囲気をあじわっただけでもよしとするべきでしょう。

 主演女優のデボラ・ギブソンは、かつてのアイドル歌手デビー・ギブソンなんだけど、B級キャメロン・ディアスに見えた。
 
  
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Last updated  February 21, 2010 12:55:45 AM
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