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テーマ:DVD映画鑑賞(14215)
カテゴリ:特撮映画
『カルティキ』はイタリア製のモンスター映画。 ゴジラとかガメラなどという迫力、重量感のある怪獣の名前に慣らされているから「カルティキ」から強大なモンスターを想像するのはちょっと難がある。文字を読まずに音だけ聞いたら「え?サルキチ(猿吉)」と聞き直してしまいそう。 確かに、カルティキはゴジラやガメラのように目を光らせ牙を剥く怪獣ではない。ぶよぶよした不定形モンスターだ。日本の似たようなモンスターでは、例えばバルンガってのがいるけど、このネーミングだって迫力と重量感があるよね。 イタリア人にとってカルティキは、モンスターらしい響きを感じるのかもしれない。 名前もさることながら、モンスターも目を光らせ牙を剥くタイプが好みである。カルティキのようなアメーバ状不定形モンスターは、造形的に手抜きに見えてしまう。ただの塊だから。 それでも『マックイーンの絶対の危機(ピンチ)(1958)』は、子供心に圧倒された。ブロブと呼ばれる液体状モンスターがドアの隙間を通り抜けて迫りくるその動きや、なんでもかんでも飲み込んで巨大化する姿にモンスター映画の醍醐味を感じた。 モンスターはあり得ないほど強くなくてはならない。当然ブロブに銃弾などは通用しない。ブロブをいかに撃退するか、その方法も奇抜で十分納得した。 で、カルティキだ。カルティキは、不定形モンスターとして、布袋状のものを膨らませて動かしているのだろうか、巨大化する以前の初期段階のカルティキはボロ雑巾に見える。 映画の雰囲気からは、モンスター映画らしい謎と期待感をもたせた展開でいい感じなのだが、ボロ雑巾が出てきてはいささか気分が削がれる。 しかし、ボロ雑巾が次第に大きくなって人を襲い、包み込んだ後は白骨化させてしまうあたりからなかなか凄味が出てきた。さらに屋敷を包み込むまでに成長し、軍隊の攻撃を受けるあたりは堂々とした巨大モンスターだ。目を光らせ、牙を剥くことはなくても。 そして、カルティキはいかにして倒されるのか。 怪獣映画のパターンとしては、怪獣の弱点を突く新兵器を登場させることがよくある。無敵の怪獣をやっつけるのだから、通常の兵器ではなく新兵器を用いるのは説得力を感じる。常識的にはありえない生物に対して、特別製の新兵器で攻撃する展開にはわくわくする。 でも、カルティキ退治に新兵器は出てこない。人間は、通常の兵器で闘う。では、通常の兵器でどうやって説得力をもたせたのか。 ここではネタバレをしません。通常兵器は何で、どう闘ったのか。それは、映画を見てのお楽しみ。 ヒントは、藤波辰巳対エル・ソリタリオ戦(1981年9月23日 田園コロシアム)だ。 この試合、藤波のフィニッシュ・ホールドはブレーン・バスターだった。ブレーン・バスターは、アントニオ猪木が一撃必殺の決め技としていた。ブレーン・バスターは動きが大きくて見栄えがいい技なので、その後続々と使い手が増え、誰でもがブレーン・バスターを持ち技のひとつとし、そうこうするうちに決め技としての輝きや威力を失い、つなぎの見せ技に墜ちてしまった、残念。 しかし、この試合で藤波は、ブレーン・バスターの連発により勝負を決めた。つまり、一発では見せ技にしかならないが、何発も続けてブレーン・バスターをお見舞いすることによりみごと決め技として復活させたのだ。何回も使える手ではないが。 これと同じで、対カルティキ戦も、通常の兵器を使いながらも、これでもかこれでもかと波状攻撃を続けることで、カルティエの強さを損なうことなく立派に撃退してみせたのだ。 カルティエはフランスの宝石、高級時計のブランド。カルティキはイタリアの不定形モンスター。もとはマヤ文明の破壊神との設定。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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