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July 19, 2010
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カテゴリ:特撮映画


 屋上屋を架す。
 屋根の上にさらに屋根を架ける。むだなことをするたとえ。

 この映画のヴィランは、最凶最悪のウルトラ戦士ウルトラマンベリアルである。
 ベリアルは、強大な力を手に入れようとしてダークサイドに墜ちたウルトラマン、早い話が光の国のダースベイダーだ。
 こいつが最強の力を手に入れてしまったものだから、あのウルトラマン、ウルトラセブンなどのウルトラヒーローたちが束になってかかっていっても、だれも敵わない。光の国は、ベリアルに制覇されてしまう。

 そして、ヒビノ・ミライ=ウルトラマンメビウスが叫ぶ。
 「今こそ彼を呼び寄せるべきです」
 「彼?」
 「まだ若いけど、無限の可能性を秘めた戦士がいるんです」

 で、その無限の可能性を秘めた戦士、ウルトラマンゼロが光の国を救うわけなのだが、ぼくはこの展開は好きではない。

 スーパーヒーローとは、常人とは一線を画した存在である。常人が、スーパーヒーローに期待するのは、自分たちの力の及ばない難問題の解決だ。難問題とは、通常の存在ではない怪獣であり、宇宙人の脅威である。
 では、これまでのウルトラマンたちでは歯が立たない難敵に立ち向かうウルトラマンゼロは、スーパーヒーローとは一線を画した存在なのか。スーパースーパーヒーローというわけか。
 とすると、ぼくたちがあこがれを抱いた初代ウルトラマンなどは何だったのか?

 ここのところ劇場版のウルトラマン映画は、いい味を出していた。『ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟(2006)』『大決戦!超ウルトラ8兄弟 (2008)』では、新旧ウルトラマンが協力し合って強敵を打ち破った。
 そこには序列はなかった。
 しかし、今回圧倒的なパワーを誇るウルトラマンゼロを登場させたことにより、過去のウルトラマンたちは格下の存在になってしまったのだ。

 例えばPCは、いとも簡単に世代交代する。最新式だといわれて購入したPCもすぐに旧型になる。何の故障もなくハードが可動しても、ソフトや通信技術の進歩や、あるいはより便利になったなどの美名のもとに旧型は使い捨てにされる。ユーザーは、また新しいPCを買わされることになるのだ。
 ウルトラマンの世界も、この先新しい映画をヒットさせるために、過去のウルトラヒーローをあからさまな脇役にして、スーパースーパースーパー……ヒーローを生み出していくのだろうか。
 ウルトラマンゼロは、セブンの必殺アイスラッガーを引き継ぎ進化させて、ダブル・アイスラッガーの使い手となっているだ。
 この伝でいくならば、つぎのウルトラマンはトリプル・アイスラッガー、そのつぎはクアドラプル・アイスラッガー、そしてまたクインティプル・アイスラッガー、と続くよどこまでも。

 ぼくたちのウルトラマンは、最強だった、はず。

 けど、今年も行くぞ。ウルトラマンフェスティバル!

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Last updated  July 19, 2010 06:00:04 AM
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