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テーマ:DVD映画鑑賞(14214)
カテゴリ:特撮映画
度外れた映画、桁外れの映画といったとき、一般には『アベンジャーズ』のようなメジャーな大作映画を想像するかもしれないね。 これは度外れ、桁外れの方向が大きくプラスに振れた場合だ。 その反対に、ぐーっとマイナス方向に外れた超マイナー映画もある。 メジャーな映画は、多くの人が快哉を叫びながら、あるいは涙にむせびながら見る。 一方の超マイナー映画は、ほとんどの人が見向きもしない。存在を知らない。視野にも入らない。 超マイナーな映画ってのは、とってもチープで筋書きなんかは破綻しちゃってるものがありがち。どうして映画(DVD)として流通するのか疑問にさえ思う。 そうであるがゆえに、超マイナーな映画を見ることは、ごく限られた密やかな楽しみがある。 超マイナーを、メジャー映画と比較して、しょぼい、できが悪いなどと評価してはいけないと思うぞ。 マイナス方向であれ、度外れた、桁外れの存在であることは確かなのだ。見終わった後にはしっかり記憶に残るのだから。たとえ悪夢の残骸だとしても。 『キングスパイダー・シリーズ』(2本なんだけどね)は、まぎれもない超マイナー。 特撮とかホラーとかは、もともとはマイナーなジャンル。 ジャンルが先かマイナーが先かってなもんだ。 それが好みなんだから仕方がない。 まずは一作目の『キングスパイダー』 アメリカ軍が開発していた生物兵器クリーピーズ(殺人蜘蛛軍団)が逃げ出した。 さらに、蜘蛛たちは合体し、巨大蜘蛛となってハリウッドを襲う! この映画で脳裏にこびりついたのは、箱庭特撮だ。 東宝特撮などは、スタジオにセットを組み、遠近法を活用するなどして距離感や奥行きを出していた。 そこまでの予算もスペースはなかったんだろうな。 まずカメラが動かない。 日本が世界に誇る巨匠のようにカメラは固定だ。(恐れ多くて名前は出せない) そのカメラがとらえるのは、テーブルの上につくったミニチュアセットか(だからカメラは動かない。動くスペースがない)。 うーん、こんな特撮映像を見ることができるなんて。 そして第二作の「キングスパイダーVSメカデストラクター」だ。 今度はクリーピーズがラスベガスを襲う。 この映画のスタッフは、東宝特撮が好きなんだろうな。怪獣の鳴き声、東宝特撮から流用してるよ。 さらに、東宝特撮のベストメカともいえるメーサー殺獣光線車もどきが登場する。 オリジナルのメーサー殺獣光線車は、パラボラの先端から光線を発射する。 ところが、もどきの方は、パラボラの部分が長方形の板なのだ。 板角のえびせんべいやヨックモックなど、缶箱の詰め合わせがある。 あの缶箱のふたを彷彿とさせるのだよ、長方形の板は。 メカデストラクターはもっとすごいぞ。さすがにタイトルロールだ。 メカデストラクターとは、対怪獣戦用の巨大ロボットだ。 この巨大ロボットが巨大蜘蛛とバトルする。 が、しかし、巨大ロボットと巨大蜘蛛の闘いとして見るには、想像力が必要だ。 棒の先に人形がついているのを動かす人形劇があるじゃない。 あんな感じのをぶつけあっている雰囲気なんだよね、キングスパイダーVSメカデストラクターのバトルは。 東宝特撮にも、基本着ぐるみで巨大怪獣の激闘を見せながら、遠景では部分的に怪獣の手人形を使う場合がある。 だが、キングスパイダーVSメカデストラクターは画面いっぱい、全面的に棒人形状態だ。 さすがに棒は見えないけど、いつかは棒人形から迫力映像にチャンジすると見ていたが、なかった。 うーん、リーズナブルな特撮映像に徹底しているな。 メジャーの映画は、手間隙、金をかけて、見るものを圧倒する映像を作り出す。 超マイナー映画は、作り手の思いに、技術やセンスや予算がついていかない。 そのギャップが、度外れた、桁外れの(マイナス方向に振り切った)映像を生み出す。 そこんとこが楽しい。 人気ブログランキングへ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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