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November 23, 2015
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カテゴリ:特撮映画

 1966年に、「怪獣ブーム」と呼ばれる現象が起きた。
 テレビで『ウルトラQ』『マグマ大使』『ウルトラマン』が始まった年だ。

 ブームに至る過程でも、小学生だった当方はゴジラを中心とした東宝特撮怪獣映画に夢中だったし、大映で始まったガメラのシリーズも心躍らせて駆けつけた。
 だから、怪獣ブームは、当方にとってまさにわが世の春、テレビの特撮番組も欠かさず見て、そして今があるという在り様だ。
 その1966年(昭和41年)12月21日に東映映画『怪竜大決戦』は公開された。二本立ての併映は『黄金バット』だった。
 東宝、大映に続いて、ついに東映も『怪竜大決戦』をもって怪獣ブームに参戦だ!と喜んだものだ。

 ところが残念なことに、東映映画史上、怪獣映画は『怪竜大決戦』の一本だけなのた。

 「仮面ライダーシリーズ」や「スーパー戦隊シリーズ」の東映は、特撮技術において、東宝に負けず劣らず目を見張るものがある。CGなんてものが出現するよりはるか以前の『宇宙快速船(1961)』で、奇跡のような特撮シーンが見られるのだ。
 だから、もし、東映が怪獣映画を量産していたら、きっと数多くの名場面が見られたと思う。

 じつに貴重な一本である『怪竜大決戦』だが、タイトルには「怪獣」という言葉を使っていない。「怪竜」なのだ。さらに、東宝、大映のように現代劇ではなく、時代劇の怪獣ものにしたところに、当方は東映の意地を感じるのだが。

 さてこの「怪竜」という言葉であるが、確かに映画に巨大な竜が登場する。ところが、それに対抗するのは大蝦蟇であり、大蜘蛛である。
 東宝の『怪獣大戦争(1965)』または『大怪獣決闘ガメラ対バルゴン(1966)』などのタイトルは、怪獣同士の大戦争、はたまた大決闘という意味合いだ。
 とするならば、『怪竜大決戦』はどうなのか。この映画を見る限り、怪竜同士ということではない。竜は複数登場しないのだから。
 ちがう見方をすると、「怪竜の大決戦」という解釈が成り立つ。怪竜が、大蝦蟇や大蜘蛛と大決戦をするわけだ。
 であるならば、この映画のメインは「怪竜」ということになるんだが、竜は敵役なんだな。主人公側のいい者は、大蝦蟇、大蜘蛛の方である。
 そこんところ、子供の頃、リアルタイムでこの映画を見たときに考えた。怪獣は現代的な用語であって、時代劇では巨竜も大蝦蟇も大蜘蛛も、みんなひっくるめて「怪竜」なんだな、とか、大蝦蟇、巨竜は、ヒーロー、敵役が化身する。つまり存在自体が「怪獣」ではないから「怪竜」と差別化しているのか、などと勝手に理解していた。

 『怪竜大決戦』の原典は江戸時代の読本や歌舞伎に登場する忍者児雷也(自来也)ものだ。
 児雷也ものは映画としても、日本初の特撮映画といわれる牧野省三監督、尾上松之助主演の『豪傑児雷也(1921)』などがある。忍術映画というジャンルで、特撮ではなくトリック撮影と呼ばれた時代に、児雷也が姿を消したり蝦蟇に変身したりして観客から人気を集めたのだ。

 そうした古くからある忍者ストーリーが、怪獣映画の『怪竜大決戦』としてリニューアルされたわけだ。

 (併映の『黄金バット』の方も、昭和初期のヒーローが大々的に蘇ったのだった。だからこのときの二本立ては、復活ヒーローフェアともいえるのだ。)

 歌舞伎の舞台も、忍術映画でも、大蝦蟇、大蛇(もともとは竜ではなかった)は、でかいといっても、人間大ほどである。それに対して『怪竜大決戦』では、大蝦蟇、巨竜は、見上げるサイズになったのだ。まさに忍術映画から怪獣映画へと大転換をはかったのだった。

 さてさて、怪獣ブームにすっぽりとはまっていた特撮少年にとっては、映画、テレビの怪獣ものにいくつものこだわりをもっていた。

 そのひとつが、怪獣の造形だ。映像作品によっては、着ぐるみ然とした怪獣、または生物的なリアル感の薄い怪獣がいた。それらに対してはとても不満を覚えた。
 やはり、つくりもの感が濃いと、作品世界に入り込めない。特撮映像作品とは、現実世界から異世界を垣間見ることができるものだと考える。しかし、上手に異世界に誘ってくれないと、まさに興醒めである。
 その点、『怪竜大決戦』の巨竜、大蝦蟇については、満足するできばえだった。デザイン、作り込み方、皮膚感などが、納得できた。

 また、ミニチュア・セットもよかった。
 通常、現代劇(または近未来)の怪獣映画は、怪獣がビル街を破壊するシーンが売りのひとつである。しかし、『怪竜大決戦』は、時代劇なので、昔の町並みを破壊してもあまり見どころにはならない。その代わりのスペクタクル・シーンとして、近江国の霞城を舞台に、巨竜と大蝦蟇が大暴れする。
 この霞城は、天守閣や本丸、二の丸っていうのかな、城一帯がていねいにつくられていた。このセットで、クライマックスの破壊シーンは見応えがあった。


 もちろん、時代によって、撮影技術にも、怪獣の着ぐるみ、ミニチュアセットなどを制作する技術にも限界はある。だけど、それなりにがんばって工夫して見せていることがわかれば、「見立て」によって、想像力を働かせることはやぶさかではない。特撮シーンがちゃちだからと一刀両断に切り捨てるものではない。気持ちで見たいものだ。

 もし、東映が、『怪竜大決戦』に続く怪獣映画をつくっていたら、特撮的におもしろいものができたのではないかと思う。
 その見果てぬ夢を、スーパー戦隊映画の巨大ロボのバトルシーンに重ね合わせて見るんだよ。

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Last updated  November 23, 2015 07:14:45 PM
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