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November 29, 2015
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カテゴリ:怪談

 『呪怨』シリーズの清水崇監督による3度目のアメリカ製作ホラー映画、ということなので、『7500』を見ちゃいました。

 2000年制作のVシネマ版『呪怨』は、本当に恐かった。部屋を暗くして見ていたので、異世界に吸い込まれたかの錯覚に陥りました。

 そして、『THE JUON/呪怨(2004)』が、日本人監督の実写映画としては初めて全米興行成績No.1に輝いたのです。さらに、続編『呪怨 パンデミック(2006)』も全米興行収入初登場1位を記録しました。

 アメリカでつくった『呪怨』シリーズは、正直言ってVシネマほど恐くはなかった。でも、日本で監督した『輪廻(2005)』は恐さのツボを押さえた映画でした。
 そんなこんなでホラー映画の実績がある清水崇監督ですからね。3度目のアメリカ映画となれば、期待しますよ。

 ナカミとしては、羽田に向けてロサンゼルスを飛び立った旅客機7500便だが、飛行中怪奇現象に見舞われるというもの。

 旅客機を舞台にしたホラー映画にはアメリカ映画の『デッド・フライト (2007)』やタイ映画『ゴースト・フライト407便(2012)』がある。
 どちらも、空飛ぶ密室に人ならぬモノが浸入して大騒ぎになります。

 そして、ホラーとはいえないが、『スネーク・フライト(2006)』もあります。こちらは恐怖映画、パニック映画に分類されるでしょう。ですが、『デッド・フライト』も『ゴースト・フライト』も、『スネーク・フライト』のおもしろさを踏襲していると思います。

 今回の『7500』も、そうした旅客機ホラーの系統にあるものかと思いました。
 上記の3本に共通しているのは、ホラー・アクション、パニック・アクションという言葉です。
 つまり、飛行中の旅客機の密室となった客席に人ならぬモノが現れたために大騒ぎとなり、逃れようのないシチュエーションの中でどうやって乗客等は命を守っていくかというスリリングな展開になるわけです。
 人ならぬモノですから、話し合い、交渉は一切効きません。

 この『7500』も、そういった展開かな、と予想していました。

 はじまりは、7500便に乗る乗客や乗組員の紹介があります。これはパニック映画の決まりごとです。恋愛中であったり、借金を抱えていたりなど、様々な人間模様が垣間見えます。この人それぞれの事情が、パニック映画では、生き延びるという視点でドラマになるわけです。

 ところが、最後まで『7500』を見ていくと、それぞれの事情の扱いが、他のパニック系映画とは少しばかりちがいました。
 そして、航空機ホラーという点でも、アクション系とは異なりました。

 ネタバレは防ぎたいと思いますが、ストーリーの途中で解決策、打開策が見えてきません。
 例えば、ジョン・カーペンター監督の『ゼイリブ』。ストーリーの進行に合わせて、エイリアンが地球に浸入してきているのがはっきりしてきます。しかし、具体的なエイリアン掃討策という方向には話が進まんでいかない。これは・・・と思っていると、案の定エイリアンを打ち破って解決という終わり方ではなかった。

 この『7500』についても、ストーリーの終わり方は、一件落着というものではありません。『7500』の幕の引きは、怪談の味わいです。ホラー・アクション系ではありません。

 怪談の味わいとは、こういうこと。
 ある小学校で、夜中に三階の大鏡の前に立つと不思議なことが起こると噂が立つ。ある子供が、その噂を聞いて、気になってしょうがない。それで、夜中に学校に忍び込み、大鏡の前に立つ、しかし何事も起こらなかった。
 翌日、クラスでそのことを自慢げに話すと、それを聞いていた友達が「あの大鏡は、幽霊が出るってみんなが騒ぐから、昨日の放課後先生達が取り外したんだよ」と言った。急いで三階に行ってみると、確かに鏡はなかった。
『学校の怪談 K峠のうわさ』常光徹著 講談社文庫 「大鏡」より引用

 怪談とは、落ちがついているんですね。
 そういう点では、じつに日本人監督らしいお仕事といえますね。
 それはいいんだけど、『7500』を映画として見たときには、ちょっと物足りないかな、と思った。かつて『JYUON』でアメリカ映画界を席巻した清水崇監督にしてはライトな感覚です。それに、上映時間も79分と短いし。と思ったら、『7500』は劇場映画ではなかったのです。じつはテレビ映画だったとのこと。
 テレビだったらね、こういった怪談落ちでも、ま、いいか。

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Last updated  November 29, 2015 10:32:09 PM
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