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カテゴリ:特撮映画
シン・ゴジラのキャッチフレーズは、「現実(ニッポン)VS 虚構(ゴジラ)」 当方の現初体験は、007と東宝特撮である。 007は、無敵のジェームズ・ボンドの活躍や、ボンド・カーをはじめとした新兵器、秘密兵器など、奇想天外、超現実(虚構)の世界に入れ込んだ。秘密情報部員になりたかった。 しかし、007の映画は、ダニエル・クレイグ版からリアル路線となった。新兵器、秘密兵器は登場しない。 そして、今回『シン・ゴジラ』も、リアル路線に・・・。 この『シン・ゴジラ』、おおまかにいって『ゴジラ(84)』のリメイクと受けとった。 『ゴジラ(84)』も「ニッポンVS ゴジラ」の体裁をとっていたから。 あと、海外からゴジラへの核攻撃というくだりや、カドミウム弾と凍結剤の違いはあっても、ゴジラの動きを止めるのも同じだった。 この『ゴジラ(84)』は、樋口監督が初めて参加した東宝特撮作品とのこと。 さらに、樋口監督は、雑誌のインタビューで以下のように語っている。 ・子供の頃に見て印象に残っている特撮映画は、『ノストラダムスの大予言』と『日本沈没』。両方とも怪獣映画使っているビル街の模型を地震で崩しているので、アプローチの仕方も仕上がりも同じ。ただ怪獣がいないだけ。いっしょに観に行った親父は、「怪獣映画なのに怪獣が出ていないじゃないか」って怒っていました。 ・ほかの怪獣映画は野原で闘うのばかりだったので、あの二本に出会って「見たかったのはこれだよ!」と思ったのを覚えています。不謹慎ですが、やっぱり崩れるビルが好きだった。小学生は、日常が崩壊してほしいという願望がすごく強いんでしょうね。 (雑誌「東京人—特集1960年代特撮と東京—(No.374 August 2016)」より) ここで当方の嗜好とのちがいがわかった。当方は、怪獣がビルを崩すシチュエーションが好きなのだ。だから『日本沈没(1973)』や『ノストラダムスの大予言(1974)』は、当方にとっては、どうせ特撮映画をつくるなら、怪獣が登場する映画を撮ってほしかった、と思った。 当方の東宝特撮原初体験は、『モスラ対ゴジラ(1964)』だった。怪獣が野原で闘うばかりではなく、ゴジラが四日市コンビナートから名古屋城まで破壊する、迫力あるシーンを見せてくれた。怪獣のパワーや存在感、その印象がとてつもなく大きいのだ。 今回の『シン・ゴジラ』のリアル志向とは、ゴジラの設定、ゴジラを迎え撃つ日本政府や自衛隊の動きなど、ディティールまできちんと追究してあるところだ。 多くの怪獣映画やテレビ番組では、怪獣を倒す方法が、たまたま新兵器ができていたり、簡単に急ごしらえしちゃったりすることがありがち。でも、『シン・ゴジラ』は、そこをいかに手間がかかったかをきちんと見せていた。ただ、もっとサスペンスを盛り上げればさらにおもしろかったと思うが。 もちろん、当方は、怪獣映画といえども、いや、怪獣映画だからこそ、リアルさが必要だと思う。 当方が最も評価する怪獣映画は『ガメラ 大怪獣空中決戦(1995)』だ。この映画で、樋口監督が特技監督としてデビューした。 『ガメラ 大怪獣空中決戦』も、『ゴジラ(84)』とはちがった意味で、『シン・ゴジラ』の原型といえると思う。それは、「もし、今の日本に怪獣が現れたら」というシミュレーションで映画ができているからだ。 『ガメラ 大怪獣空中決戦』は、虚構の話に説得力があり、見応えがあった。 『ガメラ 大怪獣空中決戦』と『シン・ゴジラ』の違いは、どのくらい「映画的な嘘」を許容するかではないだろうか。 マスコミ等がゴジラについて「生き物が火を吐くわけがない」と批判したことに対して、本多猪四郎監督は「放射能は炎でないことは分かっている。映画的な嘘である」と答えている。 同じようにヒッチコックも、観客を楽しませるために、実際は辻褄が合わなくても「映画的な論理性」を優先するというような発言をしている。 『シン・ゴジラ』は、確かに映画的な嘘もあるのだが、リアリティで覆われ固められている。 その点、『ガメラ 大怪獣空中決戦』のほうは、リアリティでは一歩ゆずっても、そこに遊びがある分楽しいと当方は感じる。 そして、『ガメラ 大怪獣空中決戦』のほうが、怪獣に対する思い入れをもつことができた。 それは、ガメラが善玉的な役割をもっていることもあるが、ガメラの飛翔場面や空中戦など、巨大生物そのものの脅威をリアルに感じさせてくれたからだと思う。さっきのモスゴジのゴジラと同じやね。そのとき、樋口特撮のファンになったのだが。 しかし、『シン・ゴジラ』は、劇場で一回見ただけでは十分味わい尽くせない映画だと思う。映像ソフトが手に入ったら、特撮場面は当然、ストーリー展開もディティールが凝っているし、情報量が多いから、何回も見て確認したい。(情報量が多いので、出演者はみんなセリフが早口だった) そうそう、当方はエヴァンゲリオンについては全く何も知らない。だからそこを論じることはできない。 人気ブログランキングへ ご協力お願いします お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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