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December 17, 2017
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カテゴリ:特撮映画

ポセイドン・レックス [ ブライアン・クラウズ ]
 主人公は、トレジャーハンター(なのかな?)のジャックス。
 このジャックス、じつに犠牲的精神に厚い男だ。
 ジャックスは、仕事柄、沈没船から金貨を引き上げようとしていた。
 海底に埋もれた沈没船を掘り出すために爆破作業をしたら、何と、太古の恐竜(ポセイドン・レックス)が出現してしまった。なんでかよくわからんが。
 ジャックスは、恐竜に襲われ一命をとりとめたものの、気を失って漂っていた。島のガイドと、ガイドに案内されてシュノーケリングに来たカップルが、海に浮かぶジャックスを発見し救出する。
 「病院はよせ」
 完全失神状態のはずなのに、なぜかジャックはそこだけ口走る。
 狸寝入りなんじゃないのか。
 そして、ジャックスは海洋生物学者サラ博士の研究室で看病される。カップルと島のガイドが付き添っている。
 ジャックス「(目覚めて)俺はどこにいるんだ」
 サラ「病院はよせと言ったからここに運んだのよ」
 ジャックス「(この俺がそんなこと言ったのか?)」みたいな、わけわかんない状態の表情。
 そのリアクション、違うと思うけど、狸寝入りではなかったらしい。
  
 このあと、謎解きとか緊迫感とか盛り上がりとか、この種の映画に必要なものがないままにポセイドン・レックスが暴れ回る。
 ポセイドン・レックス、海面に浮上するときなど、海面が波立つようなことはまるでない。手抜きのCGだからな。
 ゴジラなどは、海中から海面に出現するときは海水が盛り上がるとか大きな波紋が広がるとか、巨体なりの周囲への影響、被害がある。しかし、ポセイドン・レックスが海面に姿を現すときは、その形相、風体に比べてじつに静かなもんだ。
 あたかも高飛び込みの選手が水しぶきを上げない(ノースプラッシュ)を競うかのようなポセイドン・レックス、物理の法則を超越している。
 したがって、近くにいる船などもまるでゆれることはない。なのに乗っている人間は、うわぁ!とか言って足元がおぼつかなくなり、海に投げ出されたりする。これは、恐竜が出現したときの心理的パニックか?
 ともあれポセイドン・レックスは上陸して、街を襲う。
 ここからがジャックスの犠牲的精神の真骨頂だ。
 ジャックスとサラと、カップルの男の方ロッドは、ポセイドン・レックスの襲撃から逃げなければならない。
 ジャックス「俺が奴の気をそらすから2人は車へ行け」
 見ると車の外に男が血を流して倒れている。
 これがわからない。
 この男はこの車のドライバーであることは間違いない。男から車のキーが発見されるから。
 でも、ポセイドン・レックスに襲われ車が激突したかなんかだったら、運転席にいるはずだろう。
 さもなくば、車の外でポセイドン・レックスに食われたのなら、体が引きちぎられているかなんかしないとね。
 そういう形跡もなく、車の外で血を流して倒れているってなんなんだ?車から降りたところを強盗にでも襲われたのか?
 話を犠牲的精神に戻す。
 ジャックスは、ポセイドン・レックスに向かっていく。
 だがポセイドン・レックスの方といえば、群衆を追いかけている真っ最中。
 つまり、ポセイドン・レックスはジャックス、サラ、ロッドについてはまるで眼中にない。
 ああ、それなのに、
 「へい、こっちだ。醜い怪物め、捕まえてみろ。爬虫類の老いぼれめ」
 と大声で悪態をついて、ジャックスはポセイドン・レックスをわざわざ自分の方に振り向かせる。
 ポセイドン・レックスが群衆を追いかけている時点で、気をそらせるという本来の目的は十分達成できているのだから、そのまま3人で車に乗って逃げればいいのではないか。
 なのに、ジャックスよ、ポセイドン・レックスに声をかけて、自分の方に気を向けさせてどうする。
 ポセイドン・レックスがジャックスを追尾してきたら「今のうちだ!」って、無駄な労力使ってますよ。
 さらに、クライマックスらしきシーンでも。
 ジャックス「俺が軽飛行機を操縦してポセイドン・レックスの気をそらす。その隙に港へ逃げろ」
 それに対してサラは、「なんて犠牲的精神にあふれた男らしい人なの」という眼差しを向ける。
 そして飛行機を飛ばし「俺についてこい」とポセイドン・レックスを挑発する。だが、当のポセイドン・レックスは一瞥しただけで、飛行機には何の興味も示さずサラ達のボートに向かっていく。
 映画を見ているこちらとしては、ジャックスの飛行機がポセイドン・レックスの鼻先をかすめるなどしてポセイドン・レックスに絡み、サラたちのボートを救うのかと思いきや、ポセイドン・レックスにそっぽを向かれて、ただ飛んでいるだけ。「気をそらす」と言っただけで、その役目はまったくもって果たしていない。
 だから、追いかけてくるポセイドン・レックスを撃退するために、ロッドはロケット・ランチャーを駆使して戦うがボートから転落して食われてしまう。ジャックス、少しは責任を感じなさい。
 そして、空軍ジェット戦闘機のミサイルでも死ななかったポセイドン・レックスなのだが、なんとサラがロケット・ランチャー一発でその首を吹っ飛ばして仕止める。
  海洋生物学者だから、サラはポセイドン・レックスの弱点がわかっていたのだろうか。そんな説明はなかったが。
 主人公であるはずのジャックスは、悪い人ではないんだけどね。
 おとりになるとかの危険を厭わぬ気持ちは満々だったのだが、状況判断力と行動の方向性に課題が残ったね。

 

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Last updated  December 17, 2017 07:05:11 PM
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