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カテゴリ:特撮映画
パシフィック・リム:アップライジング (角川文庫) [ アレックス・アーバイン ] パシフィック・リム【Blu-ray】 [ チャーリー・ハナム ] この映画を見ようと某シネコンのロビーで待っていたら、以下のアナウンスが流れたんだよ。 「お客様に入場開始のご案内をいたします。11時20分より上映の『パシフィック・リム アップ』、『パシフィック・リム アップ』の入場を開始しております」 以後、アナウンスは『パシフィック・リム アップ』と連呼されていたが、『パシフィック・リム アップライジング』か、もしくは『パシフィック・リム 』のどちらかにしてほしかったぞ。 さてさて、前評判の低さの割には期待感をもって、アップならぬ『アップライジング』を見た。 前半、シドニーでのジプシー・アベンジャーとオブシディアン・フューリー、善と悪のイェーガー初対戦は、巨大感あふれ、都市破壊も迫力があった。 プラズマブレードが近代的ビルに食い込み、ビジネス真っ最中のオフィスを切り裂くシーンなど、日常生活上に突如として非現実が乱入する怪獣映画の醍醐味を味わった。 着ぐるみ、ミニチュア特撮を愛でてきた者にとっては、CGはやはり「絵」に見えてしまうところはあったが。 こういったシーンを見ると、ストーリーやドラマといったものよりも、怪獣と巨大ロボットのバトルのような非日常のスペクタクル・シーンを堪能できればいいや、と思うのだった。 しかし、その幸福感は持続しない。 今回、ジプシー・アベンジャーなどのイェーガーは、スマートなデザインになり、動きも軽快になっている。 そして、ロケット・ブースターを装着して飛行も可能となる。 このくだりは、「鉄人28号」を思い出した。鉄人も、最初は地上を闊歩するだけだったが、後付けでロケット推進器を背負って飛べるようになった。そこにありがたみがあったわけだよ。 しかし、前作のイェーガーは無骨で重厚なところにパシフィック・リムらしさが漂っていたと思う。 今回、動きが素早くなり、変形もしたりすると、「トランスフォーマー」に見えてしまった。 さらに、敵怪獣が合体巨大化して、チームを組むイェーガーとバトルすると、戦隊ヒーローもののクライマックスシーンにも見えたぞ。 もともと、『パシフィック・リム』の世界観は、怪獣軍団の攻撃によって、人類が絶滅の危機に瀕しているという、切羽詰まった状況設定があったわけだ。 人類は打つ手がなく、イェーガーも残り数体になって、崖っぷちに追い込まれていたのだ。 イェーガーを飛ばしたくても、そんな余裕はまったくなかったがゆえに、見るものはバトルにひきこまれていった。 無骨で重厚といえば、先の鉄人28号は、光線やミサイルなど飛び道具も、剣も、武器は何一つもっていなかったから。 パンチとキックを主体としたシンプルな技だけで闘ったのだった。 プロレスにおいても、昭和のプロレスラーは技が限られていたがその分重みがあったし、彼らは際立った存在感を示していた。 「ある」ことよりも「ない」ことの方が、感情移入を誘う。 そういう点では、「量」より「質」を考えることが必要なのではないか。 シドニーでのバトルも、一対一だったわけだよ。
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