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テーマ:DVD映画鑑賞(14213)
カテゴリ:特撮映画
「なんで今ごろになってリリースされるんだ?リマスター版とか4K版とか、ディレクターズカット版とかなのかな?」 と思ってよく確認したら「シン」とついているではないか。当方はてっきり『ランペイジ 巨獣大乱闘 (2018)』(以下『ランペイジ』)だと思ってしまっていたわけだ。 よくあるヒット作のパチモンだろう。 であっても、見たいものは見たい。 あるいは、パチモンだからこそ見たいのだ。 ちょうどTSUTAYAの新作半額クーポンがあったので、レンタル開始日にすぐ借りた。 第二次世界大戦の末期に、アメリカ軍の兵士2名が核爆弾を空輸していた。 魔の海域ドラゴントライアングル上空にさしかかったとき、変事に巻き込まれて飛行不能となり、兵士たちはパラシュートでとある島に降り立つ。 ・・・どこかで見たようなシーンだ。 なんてことは思う手間暇もなく、『キングコング: 髑髏島の巨神』(以下『髑髏島』)を想起する。 『髑髏島』のほうも、先の大戦中、戦闘機同士の空中戦の末に、アメリカ兵と日本兵の2名がパラシュートで孤島に降下する。 こんな出だしなので、いやでも『髑髏島』との類似が気になる。 『髑髏島』では、降下したアメリカ兵マーロウが重要な役目を果たすが、『シン・ランペイジ』では島に降り立ったアメリカ兵は、その後登場しない。 なぜならば、『髑髏島』は戦後30年くらいの1970年代の話だが、『シン・ランペイジ』は21世紀の現代の話である。戦後70有余年たっているので、さすがに本人は生きてはいない。しかし、アメリカ兵の住家は残っていた。 そして、魔の海域ドラゴントライアングル上空で旅客機がまたもや変事に遭遇する。旅客機は海面に不時着水し、生き残った人々は島に上陸するのであった。 この旅客機墜落のくだりは某テレビドラマの設定に似ているらしいが、そこにはふれない。ここでは当方の知る範囲において、類似性、相違性に言及していく。 さて、当方の関心事は、巨獣(怪獣)にあるわけだ。 その点で見ていくと、この映画に登場するのは、まず巨大化した蜘蛛である。 ここでは「巨大な蜘蛛」といわず「巨大化した蜘蛛」といいたい。 人が見上げるような脚の高さをもつ蜘蛛である。 このような蜘蛛は、すでに『髑髏島』でバンブー・スパイダーが出現している。 つぎの巨獣(怪獣)は、巨大化したワニである。 この映画の巨獣(怪獣)は、この2種類のみだ。 ちなみに『髑髏島』には7種類、『ランペイジ』には3体の怪獣(巨獣)が姿を見せるけどね。 で、巨大化したワニについてだ。 なぜ、ワニなのかを考えてみたい。 本家(?)『髑髏島』の主人公はキングコング、巨大なサル(ゴリラ)である。 その向こうを張って巨大化したワニなのか。 当方、このワニは、『髑髏島』でキングコングと激闘を繰り広げるスカル・クローラーから来ているととらえた。 スカル・クローラーとは、二足で地を這うように突進するモンスターである。 このスカル・クローラーは、1933年版『キングコング』に登場する「後ろ足のないオオトカゲ」がモチーフになっているとのこと。 トカゲとワニのちがいはあるが、「這う」という動作がとりわけ印象的な共通点ではないか。 また、『ランペイジ』には、様々な遺伝子で変異するとともに巨大化したワニのリジーが暴れまわる。 このリジ―もワニをもってきた要素としてあったのであろう。 スカル・クローラーは、「モンスターバース」の世界観に存在する、現実世界を凌駕した怪獣である。 また、リジ―は、ゲノム編集の事故から怪獣化する、科学の力でワニを超越したスーパーワニである。 これらはそれなりに手が込んだ設定になっている。 それに対して、『シン・ランペイジ』のワニは、巨大化しただけのワニである。 なぜ巨大化したかといえば、放射能の影響によるのである。 この設定は、お手軽といえばお手軽。 シンプル・イズ・ベストという点でいえば、現実からの飛躍が少なくて説得力がある、と製作者は考えたのだな、きっと。 最後にタイトルについてである。 『シン・ランペイジ 巨獣大決戦』の何が「シン」なのかについてだ。 いうまでもなく「シン」というのは『シン・ゴジラ』で世に広まった。 この場合の「シン」には、旧来の「ゴジラ」との差別化の意図、意味があったのだろう。 これら『シン・ゴジラ』と『シン・ランペイジ』の間に『シン・ジョーズ(2016)』を挟んでみる。 まず『シン・ゴジラ』については、「巨大生物の正体は太古から生き残っていた深海海洋生物が、不法に海洋投棄された大量の放射性廃棄物に適応進化した「ゴジラ」 (GODZILLA) と呼称される未発表の生物である」( Wikipediaからの引用)。 そして、『シン・ジョーズ』は「核実験の影響により進化したサメ」(「キネマ旬報社」データベースより)である。 このふたつの共通点は「放射能」である。 つまり「シン」は放射能の影響を表わす言葉として用いられているのだ。 ゆえに、核爆弾の放射能で巨大化したワニや蜘蛛が登場する映画だから『シン・ランペイジ』としたわけだね。 おそらく、2021年公開予定の「シン・ウルトラマン」以降は、この手(放射能つながり)は使えなくなるはずだ。 なお、この考察についての「証拠」を問われるところがあったとしても、当方はただ退場するのみである。
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