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Atletico Tokyo~アトレチコ東京~

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2005.05.21
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カテゴリ:Sports Business
プロ野球改革が一向に進む気配がない。
私はその一因に選手を挙げることがよくある。なぜなら、ファンはスタジアムに経営陣を見に行くのではなく、選手を見に行くからである。

本題に入る前に、アマチュアとは異なるプロスポーツの大前提をもう一度おさらいしよう。
私は「お金があるから自分でやる」精神で始まったのがアマチュア、「お金がないからいろんな人に助けてもらう」精神で始まったのがプロだと思う。スポーツがやりたいのにお金がない。だからスポンサーをつけたり、お客さんに来てもらう努力をして、お金を集める。
当然お金がないチームほど経営努力をするようになる。今の野球界が、巨人放映権の恩恵を受けられないパリーグの多くや、市民球団という形態の広島が経営努力をしている状況は端的にそれを表している。


話を本題に戻す。
選手は誰のためにスポーツを行っているのか?
選手は誰がいるおかげでスポーツができるのか?
まさか気軽に「ファンのため」と言って終わらせていやしないか?
プロスポーツの大前提を理解していないと、これに対する生産的な考えは生まれにくい。
誰から教えられるでもなく、これを理解してマクロな精神を持つプロ選手はヤクルトの古田をはじめ、本当にレアな存在だ。
大多数の選手はそんなことをなかなか考えられないだろう。でも無理はない。


だって、大多数のプロ野球選手は野球しかしてこなくて、野球の実力のみを認められてプロになっているのだから。


昨年プロ野球再編問題が出てきて、プロ野球選手は嫌でも野球以外のことを考えなくてはならなくなった。でも、どうしたらいいかわからない選手がほとんどだったのだと思う。そこでガムシャラに署名を集めたりした精神は悪いことではない。でも、これを超えたもっとマクロな意味でのスポーツのあり方を考えるには、学習量が足りなさ過ぎる。スポーツってビジネスでもマネジメントでも歴史でも語れることや考えられることなんてありすぎるくらいあるんだから。その上に「○○選手のホームラン」は存在するのだ。


私はこの問題で既に千載一遇のチャンスを一つ逃してしまったと感じている。プロ野球界の最大のミスは、昨年のオフに大々的に講座でも開いて、選手達にマクロな意味でのスポーツを教えるということを誰もやってこなかったことだと思う。更に大きく言うと、スポーツだけではない。生き方そのものを考える機会を与えるべきだったのではないか。(噂を聞くとおそらく、ほんの一部の選手は公開講座に参加していたものと思われるが、私は全選手がこういう精神を持つ必要があると思う)建設的な深い考えが出来ないうちは、いつまで経っても経営者側に舐められるだけだし、上原や井川みたいな選手が出てくるばかりだ。内部の人間でも外部の人間(特に、昨年の問題でデモや決起集会を開いた人達。あるいは私達)でも誰かそれをやるべきだった(ただし唯一それをやったのだろう球団がロッテだ。それはボビー・バレンタインという人間の存在が大きい)。



ここまで野球を中心に話してきたが、何も野球に限らない。Jリーガーでも他のプロスポーツプレーヤーでも、この問題はどこにも存在する。特にJリーガーも、初期の社会人という苦境を経てきたプレーヤー達にはまだその力があった。しかし、ユース出身をはじめ日本サッカー界の華々しさしか知らない選手が増えてくるにつれて、最近この問題がどんどん浮き出ていると思う。
サラリーキャップだろうがウエーバーだろうが移籍制度だろうが、スポーツにどんなルールを持ち込んでも、そのルールの当事者である選手があり方をよく考えずに現状と変わらない限り、何をしても効果は薄く真の問題は解決しないのではないか。だから各スポーツにおいて、ユースアカデミー(Jはあるにはあるが、機能しているとは言いがたい)など選手向けの学習機能の充実は何よりも第一に必要だと思う。


この問題の原因は、日本人の価値観にもあるのではないかと思う。日本人は「小さい頃から○○一筋」という表現を好む感がある気がする。どこかしらみんな、プロ精神とは「一筋であること」と思っていないか。いや、スポーツ以外ではそれは正しいのかもしれない。でも、現実いろんな世界を見て、価値観を学んでいかないと物事を考えるのに深みなんて出てこない。なのに世論は平山を急いでプロ入りさせようとしていて、大学に進学させた小峰監督を暗に批判している節がある(ちなみに、彼はJでラフプレーを重ねる大久保を見て、直接プロ入りさせてしまったことを後悔していると言われている)。


プロ野球選手は野球だけやっていればいい時代は終わった。というよりも元々そのカタチが間違っていたのだ。スポーツを特別なものと見ないで、社会の一つであるくらいの大きな視点で捕らえましょうよ。選手もファンも経営陣も。そうしていい議論は初めてできるのではないのかな、と思う。



P.S
一昨日、ゼミで教授とこのことについて少しだけ話していたのですが、その時に私が提起していた問題点をQoo。さんがマクロにわかりやすく表現しているのを見つけて、これを書きました。Qoo。さん、ありがとうございます。





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Last updated  2005.05.21 14:41:15
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