ロサンゼルス,サンタモニカの海岸.着いて数分も経たないうちに,この国の人々がスポーツ好きであることに気付かされる.まず,結構いい歳をしたおばあさんがいきなりインラインスケートで私たちの前を過ぎていった。よく見ると,周りでインラインスケートをしている人の年齢層は結構高めである.インラインスケートやスケボーはレンタルがあった.
次に,浜辺に備えられているものを見る.歩いているうちに気付いたのだが,日本は島国だということもあり,海岸から山までの距離が非常に短い.だからか,海岸のたて幅が狭い(長くて50mくらいだろうか)のだが,米国の海岸はその数倍の幅があるので,海岸にいろいろな設備を置くことができている。例えばビーチバレーコートが5面も並んでいたり(下の写真),懸垂や平行棒があったりもする(もちろん,これらは全て自由に使うことができる).特に,ブランコは2~3歳用のものと,4~5歳用のものでも分けてあることに驚いた(それぞれの年代の子供が落ちないくらい小さく収まるサイズにしてある).このように非常にきめ細かい配慮がされている.それ以外にもスペースはたくさんあるので,6人ほどでアメフトのパスで遊んでいる青年達なんかもいた.
この海岸の特徴の1つは,非常に小さなものだが遊園地があることである。アトラクション自体は大したことはなく,後楽園の10分の1くらいの規模のフリーフォールや小さな観覧車,ジェットコースター,そしてゲームセンターがある程度である.これらは子供向けに作られているようだ.一方で,遊牧民の博物展をやっているらしい建物も見つけた.最後に,海岸から離れて歩いてみると,10分もしないうちに日本で言うアウトレットのようなストリートに出た.値段もお得なものがあり(コンバースのオールスターが20ドルとか),ここも数時間あっという間に潰せそうである.
これらのことを総合すると,実に子供から老人まで,スポーツ好きから買い物好きまでそれぞれが何かを楽しめるようになっていることがわかる.「~がしたいからそこに行く」のではなく,「そこに行けば何かが出来る」のである.スポーツはあくまでその1つだが,重要な一角を占めている.サンタモニカ海岸に近いものについては,東京ではお台場があるが,ところが現実のお台場は若者が圧倒的に多くて,むしろ買い物やアミューズメント好きに向いている(デートスポットと言われる所以だ).スポーツといえばせいぜい有明のテニスの森くらいではなかろうか.お台場はオフィス街でもあることに起因していると思われるが,それにしても,土地計画として様々な世代を取り込む戦略が今の日本であるのか,といえば疑問符がつくのは間違いない.
つまり,日本がスポーツ文化というものを考えるときに重要なことは,「みんながスポーツをする」ことよりも,「どんな世代,好みの人でも楽しめる空間があり,その中で公共性を持ったスポーツが重要な一角を占める」ことではないだろうか.