大好きなドイツ・ブンデスリーガの開幕2日前にして、ようやく日本での放映権がJ SPORTSに決まったらしい。この前J SPORTSに問い合わせまでしたんだが、とりあえず決まって一件落着。今年も無事、倉敷様の実況でバイエルンやブレーメンを堪能できるわけですな。
今回ここまでもつれた原因はブンデスの新スポンサーになったドイツテレコムという通信会社。なんか彼らはCATVや衛星による映像配信を認めずにネット配信による放送に限定しようとしているらしい。で、結局日本向けテレビ放映権を4倍にするとかいうわけのわからん要求をしているらしく、J SPORTSが困っていて交渉していたというのが真相らしい。ちなみにスポナビによると、彼らがリーグに払う金額は3年で87億、自分たちの収益予測は3年で1800億。IT業界が儲かるわけですね。
ネット放送というのはメリットもあるがデメリットも大きい。全体的には、まだまだトラブルの大きいネット中継において、生がウリのスポーツを全世界的に放送するのは無理があると思う。個人的には、IT業界が思っているほど、ネットスポーツはおいしいものでもない気がするが。
例えば日本の場合。日本でのネットスポーツ中継は楽天やソフトバンクが行っている。ただ、これはビジネスモデルとして、これのみで収益を得るのは無理だということもわかっている。楽天ゴールデンイーグルスが昨年の開幕前に「500人限定ネット中継、年間10万円でホーム全試合が観られる」とか謳っていたら10人くらいしか買い手がつかなかった、なんてことも。結局今は他から広告料を取っているのかもしれないけど、とりあえず視聴者に対しては「宣伝効果」を狙った無料放送に落ち着いている状態。
先週、某企業にいる大学時代の先輩から、上が今後スポーツのスポンサーに力を入れたいらしいからライバル企業の取り組みやスポンサーを行う際のポイント、消費者やファンからの評判などを教えて欲しいと言われて、ちょっと調べていた。
そのときにいろんなスポンサーの形態を見直して思ったこと。スポーツスポンサーという「スポーツに金を出す行為」において、「金さえ出せば何でも許される」「スポーツは関係なく広告効果のため」という姿勢は、短期イベントならともかく、もはや長期的には受け入れられないんじゃないかと(というより、双方にデメリットが大きいんじゃないかと)。
この理由は、一言で言えば「スポンサーは簡単に1年単位で止めたりできても、ファンは簡単に1年単位で辞めたりできない」から。チームやスタジアムに企業名がついているとかは実は問題ではなく、そこに何年、どれだけの愛情を注いでいるかが問題。それが「ファンと一体になっている姿勢」を生み出し、企業としての評価も上がる。そう考えれば、阪神が企業名なのにあれだけ支持されていることも説明できる。
これらの思想に沿えば、スポーツに金を出す企業の社会的使命がはっきりするはず。
それは「スポーツ界に金を落とす」ことではなく、「スポーツ界に金を落とすことでスポーツを楽しむ人を1人でも増やす」ことじゃないのかと。
放映権に関しては、毎年毎年どこが放映するかで揉めている。スペインリーグをWOWOWが取ったり、セリエAの一部をGYAOが取ったり、そんな取り合いを続けているわけだけど、問題はその度にファンが悲鳴を上げていること。ファンはそう簡単にWOWOWに入ったりスカパーに入れるわけじゃない。
WOWOWに至ってはレアルマドリードやバルセロナの試合の放映権を取っているのにもかからわらず、生放送をしなかったり、ファンが観たい試合を放映しなかったりで反感を買い続けている。なのに、当の彼らは「俺たちが権利を買ったんだ。文句あっか?」という姿勢をまだ感じる(多分中にも頑張っている人がいる一方で、スポーツ専門局でないことによる難しさがしがらみを生んでいることが大きいんだと思うが、そんなことは視聴者は知ったこっちゃあない)。スペインリーグの日本での人気はここ数年落ちているけど、確実にWOWOWの責任だと思う。スポーツを真摯に伝える力のあるJ SPORTSが放映しているからブンデスの人気が最近上がり始めている、というのは言いすぎではないと思う。
スポーツにお金を出すのは非常にありがたい話ではあるけれど、それによってスポーツを楽しむ人を減らしてどうするんだ、というところに俺の怒りはあるわけです。結局、レアルやマンUやバルサやバイエルンがここまでお金を持てるようになった正体がこういう面にある、と考えると、時々悲しくなります。
お願いだから、中でいくら揉めてもいいから、最低でも視聴者を困らせないように純粋にスポーツを楽しませて欲しいです。