20050221働くということ/働かせるということ(8)
ほりえもんが世の中を騒がせている。色々な言動があったが、僕に、ズドンときたセリフがあった。「子会社の人は、親会社が代わるだけでしょ。生活に何の影響もない」と、ほりえもんが言ったらしい。ほんとに、そう思ってるのかなあ? ――――――――――一連の騒動は、「働く/働かせる」の観点から見ると、とても簡単に判断できるよね。資本的上位のものが、人を働かせるのではない。30%持ったって、51%持ったって、100%持ったって、関係ない。理由は簡単。人の心は支配できないからだ。「この人の下で働きたい」「この人と一緒に働きたい」僕達、労働者には、この思いが持てるか。この思いを持たせられるか。これ、結構、大きい。「僕は、あなたと一緒に働くに値します」これを証明することが、先決だ。空海もそうしていた。その後に、上下関係をすりこんでいく。この順番を間違うと、二度と回復は不可能だ。ほりえもん、わかった上で、やってるんだよね・・・。でも、もしかしたら、焦っているのかもしれないなあ。。。―――――――――――世の中のM&Aのほとんどが失敗しているという。失敗の内容を具体的に表現すると、「期待したパフォーマンスが出なかった」「高すぎた」ということだ。以下、家族に例える。子供の結果は、ほとんど子供=子会社(引き取られた側)のせいにされる。しかし、それは違う。失敗の原因は常に、親にある。愛情が足らないからだ。いや、それ以前に、相手に思いを馳せる、その心がないからだ。ある日、突然、パパが違う人になるなんて・・・! その子の、不安の大きさ、わかるでしょ? ある日、突然、パパが違う人になるなんて・・・! なんという運命のいたずら・・・! まず、その子が背負った運命の波のうねりの大きさに、共に心を傷めてあげたらどう? もし、その子が、反抗したとしても・・・。その気持ち、わかるよね? 恐いのよ。新しいパパが恐いんじゃなくて、自分の運命が恐いの。自分の運命を呪っているの。不安でたまらないの。僕はこの先、どうなっちゃうんだろうって取り乱してるの。そんなその子を、優しく抱きしめてあげて。話を聞いてあげて。何も言わなくていい。その子もわかっている。自分の人生は、自分でやっていかなきゃならないことくらい。前のパパは去り、新しいパパが目の前にいる、この現実を受け入れなければならないくらい。親に売られた、捨てられた、子供の気持ち。育ててきた子供を、手放さなきゃならない、親の気持ち。悲しい、悔しい、憤り、その心の動き、葛藤、覚悟、決意。しかし、それでもなお心に残る未来への希望・夢。それらに対し、いたわりすぎる・気を遣い 「すぎる」 なんてない。気遣って、気遣って、共に心を痛めて、痛めて、悩んで、悩んで、待って、待って。それでもなお・・・、きっと足らないだろう。理解することなどできないだろう、相手の気持ち。それでもなお、さらに気遣え。そんな・・・、人の心・感情に触れなくて、何がM&Aか。米国って、もっと簡単に、ポンポンやっちゃうのかなあ。信じられないな。――――――――――M&Aの本質は、・従業員が一気に増える・株主が一気に増える・お取引先が一気に増える・しかも彼らは、今まで全く異なる文化・時間の下で生きていた=とにかく、「全く別世界にいた大勢が、急に関与する」といっても過言ではない。自分が何年も雇い続けた仲間でさえ、心を自由にコントロールできないというのに・・・。M&Aを手掛ける経営者には、通常の会社経営よりも高度なレベルの繊細さ、人の心の動きへの理解度が求められる。その上で! 衝突があるとわかりつつも、従業員や、悪しき慣習や、古い文化に対し、ドライに対峙すべきだ。ほりえもんは、わざと、目に入らない、わかってないふりをして、いやらしく言ってるのかな・・・。――――――――――フジテレビは連結ベースで従業員3,225人である。3,225人の会社にはね、3,225の尊重すべき物語がある。3,225名それぞれが、守るべき人・家庭・生活を持ってる。もしかしたら、小さな夢だってあるかもしれないね。3,225の。いや、平均1.5人くらい家族を持っているとしたら、約4,838の物語があるということだね。それにプラスね、株主が1,000人なら、やっぱり、1,000の物語がある。フジテレビの株主数は99,048人だから、まあ、ざっくり10万くらいの物語が存在しているってことだね。経営者っていうのは、それを全部!! 背負うのが経営者ではないか。いや、背負わなくてもいいかな。そういうのがあるんだってことだけ、知っていればいい。知った上で、わかった上で、斬っていくのだ。刀で斬った側も、激しく痛いものだ。強い者は、弱い者の分まで、背負って進まねばならない。能力のない人だって、本当はできたいのよ。だから、能力のある人は、その人の分まで社会に貢献すべきなの。勝者は、敗者の分まで、勝ち進まねばならない。なぜって、次に、サックリ負けちゃったりしたら、敗者に申し訳ないでしょ? ーーーーーーーーーーーーーーーA君の才能は、本当はB君が持って生まれる予定だったかもしんない。でも、たまたま! A君が持って生まれただけ。A君が、B君を見下す道理は全くないのよ。B君はひねくれたり、スネたりする必要がない。自分のできる限りの力で、役割を発揮すればいいだけなの。Noblesse Obiligeですよ。ほりえもんは、きっと、そんなこと、わかってるよね・・・。わかった上で、いろいろと、言ってるんだよね・・・。――――――――――その一つ一つを、守れとは言わない。新たな世界を切り拓くにあたり、一旦、何かを傷つけることもあるだろう。しかし・・・!!!! 傷つける代わりに、新しい希望があることを説明しきらないといけない。皆を動揺させちゃいけないし、仮に皆が動揺しちゃっても、落ち着かせないといけない。人の数だけ、同じ数の物語があること。同じ数の喜び・同じ数の悲しみが生まれること。これに、常に思いを馳せなきゃならない。それができないなら、M&Aをやる資格ないんと違うか。経営者っていうか、リーダーを、やったらあかんのと違うか。――――――――――僕は、テーブルの向こうにいる人の怒り・恐れ・震え・欲望・夢・エネルギー・・・いろんな感情、物語を直視しよう、と思う。僕が聞かなきゃ、誰が聞くというのか。と思うからだ。以上