<番外>落照の獄(ヨムヨム収録) 小野不由美
yom yom (ヨムヨム) 2009年 10月号 [雑誌]小野不由美さんの12国記最新作が収録されています。今回の短編は柳国を舞台にした迫力の150枚。<あらすじ>柳国では主命により死刑が禁止されていた。ところが凶悪な強盗連続殺人が発生し、高官は犯人を協議の上裁くことになる。たかが12銭のために子供を殺した殺人は死刑にせよという国民の声が高まっていき、国の行く末と死刑是非論で高官は悩みぬく・・・。大変読み応えのある、とにかくヘヴィなお話でございました。そういえば12国記は面白いだけのお話ではなかったのでした。そのお話ごとにテーマとか雰囲気とか違いますが、今回のテーマは「死刑」かなぁ。ファンタジーなんですが、架空の国の架空の法律のなかで、死刑の本質、人を裁くこと、矯正、国の行く末などについて登場人物たちは苦悩しますが、ともすれば現実と引き比べる自分がいました。最近あった冤罪事件とか、小野さんの頭に当然あったのでは。今回は麒麟は登場せず、主上もちらっと出てきただけ。どうやら天意を失いつつある国の暗さがありありと表現されていたと思います。ああ、また文庫本で12国記の新作が読みたいものですね。小野さんのご体調とかどうなんでしょうね。