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テーマ:節電(386)
カテゴリ:鉄道
電力不足が引き続いている関東ですが、
今月に入ってからは計画停電がなくなり、 電車のダイヤもほぼ通常どおりに戻りました。 ただし節電モードは引き続いていて、 駅のエスカレータやエレベータはもちろん、 券売機まで未稼働の機械がある始末。 蛍光灯なども減光したりとりはずしたりして 何とも薄暗い状態です。 そして西武線に至っては、 電車内の蛍光灯も昼間は点けていません。 読書をする御仁にとってはちょっと辛い状態です。 で。 暗い車内に足を踏み入れたとき、 実はどこか懐かしい感覚を身体に感じました。 「何だろう、この懐かしさは……?」 と思うまもなく、すぐに数十年前の記憶が蘇ってきました。 小学生あるいは中学生だった昭和40年代、 僕は、今も実家のある大阪・富田林の 金剛団地というエリアに住んでいました。 そこから電車で大阪市内へ出かけたり、郊外へ向かうときは 南海高野線を利用することになります。 で、当時の昼間の南海電車は、 それこそ車内の蛍光灯を点けていなかったんです。 薄暗い車中、読書もしづらい環境だったでしょうが、 外の流れる景色を見るのが好きな僕は、 特段、車内が暗いことにさほど気にすることもなく、 「電車は、昼間は電気を消して走るものだ」 と頭の中に刷り込まれていました。 ところが同じ関西の別の私鉄、 阪急やら近鉄電車に乗ると、昼間でも蛍光灯が点いている。 車内が明るいのは良いのですが、 「電気がもったいないなぁ」と思っていたことです。 今にして思えば、昼間であろうが夜であろうが、 営業中に車内灯を点けるのはごく当然のことなのでしょうが。 実は南海電車は、他の関西の私鉄と違い、 立地というか、走っているエリアの環境がさほどよくありません。 南海本線も高野線も、 大阪から南へ下るにつれて乗客が少なくなっていき、 特に高野線は、終点・高野山近くになると山また山となり、 沿線に家がほとんど見えなくなります。 駅によっては1日の利用者が10人に満たないなど、 超ローカル線の状態。 南海本線は終点が和歌山の県庁所在地ではあるものの、 和歌山市自体、町としてのボリュームはかなり小さい。 そういうわけで、ただでさえロケーションが良くないので、 乗客数が他の私鉄に比べると極端に少ないのです。 しかもガラのさほど良くない場所柄か、 キセル乗車が後を絶たず、運賃の取りこぼしが多発。 乗客数が伸びない中で横行するキセル乗車ですから、 これは経営を圧迫する話になります。 さらに昭和40年代は、当時の運輸省からも業務改善命令を出されるくらい 死亡事故が多発し、復旧費や賠償費がかさみ、 経営の圧迫にさらに追い打ちをかけられていました。 そういう環境下だったので、当時から不要不急のものは節約する、 と爪に火をともすような取り組みをしていたのでしょう。 その南海電車も、関西空港が開港して主要なアクセス路線となった今は、 乗客数も伸び、昼間でも立派に蛍光灯をともしているので、 薄暗い車内も今となっては昔語りになってしまいました。 薄暗い西武線の車内で、ひとり40年前の光景に思いをはせたことです。
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