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テーマ:鉄道(23083)
カテゴリ:鉄道
今や『タブレット』と言うと、iPadやギャラクシー・タブといった
高機能デバイスを指しますが、 鉄ちゃんの僕は、単線鉄道の運行に使う「通票」を 想像します。 ウィキペディアより 上の写真で、駅員さんが運転席に向かって掲げている 輪っか状のアイテムが『タブレット』。 これを運転士が受け取って出発し、 次の駅でそのタブレットを駅員に渡すと同時に、 次々駅との間で有効なタブレットを受け取って出発します。 昔は上り列車も下り列車も同じ線路を走る、 いわゆる単線鉄道が一般的でした。 列車の交換は、主に駅や信号場で行われ、 駅(信号場)間の線路は1本しかありません。 なので、何の対策もなしに列車を運行させると、 列車同士の正面衝突が起きかねません。 そこで考えられたのがこの『タブレット』を利用した、 『閉塞運転』という方式です。 これは、駅(信号場)と駅(信号場)の間には、 1本の列車しか通さない、という原理原則を徹底する方式で、 『タブレット』を持たないと、列車はいつまでも出発できない、 というルールです。 たとえばA駅に停車中の上り列車の運転士が、 A駅の駅員からタブレットを受け取り、B駅まで運転します。 B駅では所持していたタブレットを引き渡す。 するとB駅の駅員は、B駅で列車交換待ちだった下り列車の運転士に そのタブレットを渡すことで、 今度は下り列車にA駅-B駅間を走る権利が移ります。 下り列車の運転士はタブレットを所持して運転し、 A駅に着くとそのタブレットをA駅に引き渡す。 1つのタブレットを2つの駅間で往復させることで、 駅間に2列車以上を走らせない、という工夫です。 鉄道黎明期からこの方式で列車運行が行われていたのですが、 その後、都会では上り下りを別線にする複線化が行われ、 さらに時代が下って、 単線鉄道にコンピュータによる運行管理システムが 取り入れられるに及び、 人手のかかるタブレット方式はどんどん減少していきました。 日本では既に壊滅していたかと思っていたのですが、 唯一、福島県を走るJR只見線の一部で、 未だタブレット方式が生きていたようです。 ところがこれも昨日22日を最後に終了し、 今日からはコンピュータ制御による運行管理に移行。 タブレット方式は日本の鉄道から完全に無くなりました。 僕が子どもだった頃から タブレット方式はどんどん廃れていましたから、 あまり記憶にはありませんが、 それでも旅行で立ち寄った山間の小駅で、 駅事務所内に鎮座しているタブレットを見たことがありますし、 駅員さんが鉄道電話を使って隣駅の駅員と 列車の運行状況を確認し合っている光景を見たこともあります。 何とものどかな風景でした。 今のスピード時代には到底追いつかない、アナログなやりとりなので、 廃れていくのは当然ではありますが、 今回のタブレット方式全廃の報に接して、 何だか古き良き時代が無くなってしまう、一抹の寂しさを感じました。
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