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カテゴリ:鉄道
今年春に、長年の懸案だった
交通系ICカードの 全国的な相互乗り入れが開始されました。 従来だと、たとえばJR東日本のSuicaを使って 関西のJR西日本・ICOCAエリアを乗り降りできましたが、 関東私鉄のPASMOでJR西日本は乗れませんでしたし、 Suicaで関西の私鉄も利用できませんでした。 ところが現在は、どちらも利用可ですし、 逆に関西の人がICOCAやPiTaPaを持って 首都圏のSuicaやPASMOエリアを利用できます。 僕もこれまでは、大阪に帰省すると SuicaやPASMOが使えないため、 ICOCAを購入して使い分けていたのですが、 次回の帰省時からはそのような面倒はなくなります。 これでようやく日本の鉄道のICカードに 全国統一の運用を図ることができたなぁ、 と感慨深く思っていたら、 2ヵ月後の今、別方面でややこしい話が巻き起こりました。 関東のJR東日本と東京メトロが、 運賃を1円刻みにする、という話です。 話の発端は、来年の消費税増税です。 過去の消費税導入時(3%)と5%への増税時は、 運賃に消費税を転嫁する方法として、 1円単位で四捨五入し、 10円刻みにする方法がとられていました。 もともと鉄道運賃は、 全国どこの鉄道会社も10円刻みで設定しており、 自動券売機も10円以上の硬貨や 札しか扱えないようになっています。 本来なら300円区間の運賃は、 309円とか315円になるわけですが、 自動券売機が1円刻みに対応していない以上 いかんともしがたく、 調整をして10円単位になっていました。 しかしこれだと、ふだん僕たちは意識していませんが、 本来の運賃より安くなる区間もあれば、 高く取られている区間もいっぱい出てきます。 同じ利用者として、 利用区間によってトクする人、損する人が 混在していて、これはこれで悩ましい。 折りしも、交通系ICカードが普及し、 今や首都圏のエリア内では8割以上の人が IC乗車券で鉄道を利用しています。 そしてIC乗車券は、街中のコンビニ等でも使えるように、 1円単位でも瞬時に計算してくれるわけですから、 鉄道運賃だけ10円刻み、という理由がなくなります。 そこで、今度の消費税増税実施を機に、 IC乗車券利用者に限り、 運賃を1円単位に刻みなおす、というプラン。 カードを持っておらず、駅でキップを購入する人は、 引き続き10円単位でくくった運賃が適用されるので、 少し不公平感もありますが、 嫌であればIC乗車券を所持すれば良いだけ。 「二重運賃は利用者を混乱させる」 という向きもありますが、 たとえば都市高速道路でも、ETC所持者は距離別料金、 ETCカードを持っていない車は、最大区間の料金を徴収する、 ということでれっきとした「二重料金」。 しかし既に実施されてから、さほど混乱は起きてません。 そういうわけで、 「運賃体系がきめ細かくなり、 利用者にとっても不公平感が薄くなる等のメリットは大きい」 として、JR東日本と東京メトロは導入に前向きなのですが、 どうもここで鉄道会社による考え方の違いが出てきました。 すなわち、首都圏以外の、 たとえばJR西日本とJR東海は導入に消極的だ、というのです。 同地では首都圏よりはIC乗車券の普及が進んでおらず、 1円単位に刻んでまで二重運賃を設定する必要性に乏しい、 とのこと。 まぁ、理由としてわからなくもないですが、 逆に1円刻み運賃を制定することで、 IC乗車券の普及率がアップすると思うんですが…。 IC乗車券の普及率アップによる、 コストダウンのメリットは大きいです。 なにせその分、駅の券売機の台数を減らせますし、 自動改札機もキップを通さないことから、 更新時には機構が簡単で廉価な機種を導入できますし。 ですから他の鉄道会社でも 取り入れない理由はないと思うのですが…。 結果、関東だけが見切り発車してしまい、 首都圏は1円刻み、他の地域は10円刻み、 という複雑な運賃体系になると、 逆に利用する僕たちが混乱しそうです。 何とか前向きに考えて欲しいものです。
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