【アマゾン・ドット・コムの光と影】
あのAmazonの裏側を垣間見ることができる本です。─────────────────────────■ 本の情報─────────────────────────【アマゾン・ドット・コムの光と影】~躍進するIT企業・階層化する労働現場~ 著者: 横田増生 出版社:情報センター出版局 ISBN:4795843422 サイズ:単行本 / 295p 発行年月: 2005年 04月 本体価格:1,600円 (税込:1,680円) ─────────────────────────■ なぜ買ったの?───────────────────────── 物流業界にいる私としては、ものすごく興味がある内容です。 あのアマゾンの物流センター潜入ルポ! 巨大オンライン書店の物流現場はどのようなものなのか? すっごく知りたいと思って買いました。─────────────────────────■ どんな本だった??───────────────────────── ネット上でたくさんの本を売るアマゾンのサイト。 そのシステム自体は本当に素晴らしいものです。 私もDVDが主ですが利用させて頂いてます。 そして買い物をすると 最終的には商品を届けるという作業が発生します。 アマゾンの物流センターから商品が届けられるのです。 この本はその物流センターで半年間アルバイトとして働き、 内部から見たアマゾンを書いたものです。 アマゾンは秘密主義らしく、 このような本はとても貴重ではないでしょうか。 著者は元々物流業界紙の編集長だった方ですので、 本の中に書かれている分析はとても説得力があると思います。─────────────────────────■ で、どう思った???───────────────────────── 読み終えて、少し憂鬱になってしまいました。 著者が働いたアマゾンの物流現場は 近い将来の日本の縮図なのかもしれません。 この物流センターには階層(カースト制と表現されていました)があるのです。 1.アマゾンの物流部門 2.物流を請け負っている日本通運 3.アルバイト 4.アルバイト見習 つまり 1.支配的な階級(荷主・アマゾン) 2.技術的な価値のある人々(物流のノウハウを持っている・日通) 3.単純労働者(アルバイト・人材派遣) となります。 単純作業者はロボットにできないことをやるだけです。 ノルマを与えられ、終了時間まで商品のピッキングを続けるのです。 その管理システムは恐るべきものです。 2ヶ月単位で契約し、作業効率の悪い人は捨てられます。 もちろん希望を持てない職場ですから、辞めていく人も後を絶ちません。 でもそんな定着率の悪さにも影響を受けない物流現場のシステムが構築されています。 そしてそのアルバイトの中心は 30代40代の中年男性というじゃないですか。 私は20代のフリーターと呼ばれている人たちが アルバイトの中心だと思っていたのでとても驚きました。 確かに時給900円だと 若い人たちは他のもっと楽しい職場を選ぶのですね。 職場を選べない中年男性がアルバイトの中心になるのも頷けます。 なんともやりきれない気分になってしまいます。 こう書くと、 「アマゾンはなんて冷徹な企業なんだ」と思うかもしれませんが、 製造や物流の現場では、今では当たり前の光景です。 ただアマゾンが最も研ぎ澄まされたシステムを持っているだけなのでしょう。 私は物流企業で働いているので 上記の階層で言えば2番目の日本通運の位置になります。 アマゾンほど強烈ではないですが、 私の会社の倉庫でも、やはりこの階層というのは存在するのです。 私は物流現場の入出荷のシステムを作っています。 より効率の良いシステム、 誰でも簡単に作業ができるシステムを作るということは、 アマゾンに近づいているということなのでしょうか・・・ ・・・とても考えさせられる本でした。 この内容が少しでもお役に立てたなら・・・ 人気blogランキングへ