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「サイゴン陥落30年記念式典」

4月30日、サイゴンが陥落してから30年が経ち、ヴェトナムで記念式典が行われた。この日のために、ヴェトナムでは２か月も前から祝福ムードが高まっていた。

1965～73年、アメリカが支援するベトナム共和国と南ヴェトナム解放民族戦線（NFL)、通称ヴェトコンが戦ったヴェトナム戦争。そのヴェトナム戦争に終わりを告げたのが、サイゴン陥落だ。そしてその後ファン=バン=ドンを首相とするヴェトナム社会主義共和国が成立した。

読売新聞では、この式典の様子を扱っている。いまや戦後生まれが大半を占めることに触れ、式典で「サイゴン陥落」当日に生まれた若者が演説したことを紹介。その理由を、“若い世代に抗米戦争勝利の意義を訴え、国威発揚に向け向上心を高める”ためとし、対米意識をうかがわせる。

一方、ニューヨークタイムズでは“30 Years Later, Cake and Credit Cards in Saigon”という記事を掲載。記念パレードでは、アメリカのクレジットカード会社のロゴを持って歩く人などが目に付き、まるで親米路線を強調しているかのようなパレードだと言う。これまでアメリカの批判をしてきたヴェトナムが、どうして親米路線なのか。調べてみると、どうやらヴェトナムはWTOへの加盟を目指しており、そのためにアメリカの協力が必要のようだ。また、経済発展のためにも、アメリカは重要な存在なのだろう。

ヴェトナムでは今でも枯葉剤の影響で苦しんでいる人がいる。アメリカは憎むべき存在であるはずなのに、ヴェトナム発展のためにはアメリカの力が必要なのか・・・。なんとも皮肉に思える。

30日のパレードには、ディエンビエンフーの戦いでフランスに勝利したボー=グェン=ザップなど、当時の政府関係者や兵士も訪れた。二十歳の私にとっては、彼らはもはや教科書上の人物。このように、ヴェトナム戦争を知らない世代が増えていく。自分が経験していない事象をどう考えるべきだろうか。「もう昔のことだから・・・」といって片付けてしまうのか･･･。このことは、ヴェトナム戦争に限らず、日本が経験した太平洋戦争も同じだろう。それを体験していない私達が、過去をどう考えるか。その姿勢は、教科書問題などで揺れる日本と中国、韓国の関係にも影響を与えるに違いない。私自身、きちんと考えてみたいと思う。

ちなみに、ヴェトナム戦争といえば、当時の日本はアメリカの拠点になっていた。ヴェトナム戦争に加担しているとして反対運動が起こり、後に60年安保闘争にまで拡大。日米関係や諸外国とのかかわりについて、きちんとした考えを持っていた当時の学生には、ある意味感心してしまう。