ケアマネ物語(14回)
そういえば介護と医療の中間のような認定は出来ない物でしょうか。病気だが、症状が固定していて、急激な変化のない人。入院するほどではないが健康人のように活動できない人。在宅ホスピスのようなケースです。歩けるし、認知症もないし、排泄も自分でできるし、お風呂だって一人で入れる。しかし家事をすれば疲れるし、買い物に外に出れば感染症が怖い。こうした方は、その人の家庭環境や能力に応じた介護度のようなものをつけて、家事援助や訪問看護、様々な居宅療養管理指導、最後には訪問入浴、医療からは往診など、自宅でも快適な療養生活を送れるような制度を新設できないだろうか。これは年齢などにかかわりなく、切迫流産や妊娠中毒症で安静を必要とする女性にも適応できるでしょう。家事援助のヘルパー派遣、訪問看護のサービスが考えられます。骨折で動けない人などにも使えるように。交通事故などで障害を受けた人にも使えればサービスの谷間にいる人たちを拾い上げることができるような制度を・・。さて話題は変わりますが、3,4ケ月という短い期間でも、いろいろなことがおきます。外勤をしない日は事務所にいますが、電話が良くかかってきます。A社では電話を受け付けると、前振りがとても長いのです。自社の広告と自社がどれほど良い会社であるかをとうとうと述べてから、受け付けた自分の名前をいい、それから用件を聞きます。私は合理主義者ですので、相手からの電話でこの様な長い前振りはイライラしないかと考えることと、そんなことをいうのが恥ずかしいことと、言ったからといって、ケースが増えるわけでもないと考えていました。ですから、「いつもお世話様です。AZのめる55です。」と簡単に済ませます。毎日3~5回電話をかけてくる利用者がいます。その人のケアプランは他事業者でしたから、我がA社では、ヘルパーを巡回で1日2回派遣しています。不便なのは、下半身だけで、あとはとても元気です。電話だけでは、寝たきりの人とは思えない声です。その人は布団のよこに電話と電話番号一覧表をおき、1日中電話をしています。とうぜん、担当ケアマネ、訪問看護事業所、福祉用具、訪問介護事業所、と順にかけていきます。よくかけてくるのは我が社です。ヘルパーが入る前に2回ほど、今日は誰がくるのか・・。帰っててから、今日はどうだった、こうだった。と苦情のような感想のような一言。それ以外にも思いついたら即電話・・。私が受けることが多く、愛想良く接していたら、私の名前を覚えてしまいました。「はいAZの・・。」「あら、めるさん。私が誰だかわかる~。」ゾワッ・・。判るわけないじゃん。そのときちょっと気にかかっていた人の名前をいいました。「あら、めるさんもだめね。私がわからないなんて。」それからちょっと怒ったような電話が増えました。その人は昼、夜かまわずかけてきます。事務所の電話は夜間は所長の携帯電話に転送することになっています。所長だって夜は家に帰ります。家族と団らんしていたり、仲間と飲んでカラオケということもあったでしょう。それを時間かまわず電話がかかってきます。急を要する電話ならいざしらず、結局内容はたいしたことがなかったり、明日にならなければ判らないことだったりします。「明日、誰がくるのかしら。」家にいる所長にはわかりません。事務所には予定表がありますから見れば誰でもわかりますが、家に持ち帰るようなものでもありません。私が最初であった所長はリストラされ、新所長は他拠点を業績アップさせた経歴のある人でした。明るく、かつシビアな人というのが印象ですが、優しい面もある人です。その人がとうとう怒りました。「なんで真夜中に電話をかけてくるのですか。急用以外は遠慮してください。」はっきり言ったそうです。「そ、それは・・(寂しいから)。」それから、その人は真夜中かけてくることはすくなったようですが、他事業者にA社の悪口を言っているらしい・・。