涙ひとつぶ落ちる前に

この間、母がお魚屋さんへ行って、
「オマケの様に売ってたよ～！」
と嬉しそうにわかさぎを山盛り買って来た。
大きいの、小さいの、色々。
「これ、どうやって食べるのが一番おいしいって？　やっぱりフリッターとか、素上げ？」
と訊いたら、
「さー、そーなんじゃないー？」
「……どうやって食べるつもりだったの？」
「さー知らない。なんか珍しかったから。」
後はヨロシクネ～
と去っていく。
うう、なんで訊いて来ないのよう、と思いつつ、いつもの事なので、一応、「お魚料理」の本を見てみる。
後は南蛮漬け位かなあ、とページをめくると、それ以上のメニューは書いてなかった。

しかし、うちは揚げ物はしない。
このわかさぎ、どうしたら簡単に食べられるかなあ、とためすがめすする。
背中のところがサヨリに似てなくもない。
とりあえず、塩焼きにする事にする。
ま、大体なんでも塩焼きにするのだけど。
煮るとカロリーが上がるから、という事もあるけど、とにかく、調理可能な時間が限られてるから、「速く」というのは大前提だ。

さて、塩水で洗って軽く塩をして焼き始める。
色々あるから焼き上がりにも時間差が出る。
しかし、こんなに沢山塩焼きわかさぎがあっても、困りそう……。
ひっくり返しながら、なんかどうにかならないかなあ、と考えていて――、
「あっ、変則南蛮漬けにしたらどうかな？」
と思い立ち、タッパーに、残っていた「らっきょ酢」を入れ、ノンオイルドレッシングを足し、ぐるぐるっと混ぜて熱々のわかさぎをジュッ。
ものが熱ければ多分漬かるだろう、と塩焼きで食べるには小さくて、早く焼きあがるものから入れておく。

その日の晩は焼くのが最後までかかった大きいわかさぎの塩焼き。
これはこれでオイシカッタ。
さて、次の日タッパーを開けてみると……。
美味しいわかさぎのマリネーが出来ていた。
頭から食べられて体にもオイシイ。

そう、それからまた私の大好きな応用編。
豆アジを買ってきて、焼いてジュッ。
小鯛を買ってきて、焼いてジュッ。
簡単。それにあっさりしていてなんだかおいしい。
どれもお安いし、保存も出来るし、お弁当にも出来て、使い勝手がいい。
簡単・オイシイ・ヘルシーです（笑）。