ヒマジン
無人島に一人居ると想像してごらん仕事もなく通勤電車もなく残業もなく競争やノルマもなくそのへんの木の実や果物を食べて暮らしていける誰からも命令されず喧嘩する必要もなくお金の心配もなくゼッタイ交通事故に遭わず流行などとは無縁の世界財産もないが税金も堂々と不払い電気はないが公害もなく名前の必要さえなく他者の名前はなおさら無用好きなときに放屁して「屁をこいても一人」などと言い好きなときに眠り笑いたければ笑い泣きたいなら女のように泣き崩れ茫然と立ち尽くすなら気の済むまで立ち呆け雨に濡れ風に吹かれて夜の闇にかき消され星屑のまたたきを瞳に映し夜明けのオレンジに頬を染め昼の太陽に打ちしおれ茜の海岸に素っ裸で立ち夜の寒さに歯の根合わず己が体温のみを温もりとして己が生命のみを拠り所として己が意識のみを「己」として・・・そういう名無しのゴンベーに私はなりたい