トクする確定申告情報34~税抜処理と税込処理
不動産所得、事業所得、山林所得、雑所得などを計算する場合に収入や経費を消費税込みで表示する方法を税込処理といい、消費税抜きの本体のみで表示する方法を税抜処理といいます。消費税の課税事業者は税込み、税抜きのいずれかを選択することができますが、免税事業者は納付する消費税がないため税込処理しか認められていません。さてこの税込処理と税抜処理のいずれが有利かという話なのですが、タテマエではいずれも所得(=利益)の金額にも影響を及ぼさないことになっています。 が、実際には税抜処理の方が有利になる場合が散見されます。どういう場合かというと1.固定資産(建物や機械、車両、備品など)を買った場合2.期末の在庫が相当額にのぼる場合3.税込みだと10万円(又は30万円)以上となるが税抜きだと10万円(30万円)未満となる消耗品のようなものが多い場合1.と2.はいずれも翌年以降に経費を繰り延べていく性質がありますが、税抜き処理をすることによって5%の消費税分だけ今年の経費となる訳ですから特に建物など高額に上る固定資産を買った場合には税抜処理の方が圧倒的に所得は小さくなります。在庫などの税抜処理についても同様です。3.は消耗品費などとして全額経費にできるか、固定資産として減価償却しなければならないかということです。10万円未満のものについては消耗品費等として全額落とすことができることになっているのですが、この10万円というのは税込処理をしている場合には消費税込みで10万円未満、税抜処理している場合には消費税抜きで10万円未満の判定をすることになっています。当然、税抜きで10万円を判定した方が全額経費となるワクが大きくなります(例:税抜き98,000円のものは税込み102,900円となりますが、税抜処理であれば98,000円<10万円だから全額経費、税込処理なら102,900>10万円だから減価償却と、同じものでも取扱に差が出ます)。30万円というのは中小企業者について平成20年3月31日までに事業供用したものについて10万円のワクが30万円に引きあがっている特例です(ただし、年間取得金額の合計が300万円まで)。昨日、申告が終わったお客様から「工場の家賃が実際に払っている金額より少ない。これはどういうことか」というご指摘を頂きました。税抜き表示をしているため5%だけ実際の支払額より少なく表示されているのですが、どうも経費が少なく表示されていることに納得がいかない様子でした。「建物の家賃に消費税はかからないと聞いている。だから○○万円とピッタリした金額になっているんだけど」ということでしたが、「工場の家賃は消費税がかかります。非課税なのは住宅だけなんです。その消費税分だけ、お客さんはトクをしているんですよ。」と説明しましたが、ちなみに、この家賃が非課税であり、支払った金額で経費の額を表示しても利益の額は変わりません。この辺のところは会計を職業としていらっしゃる方はすぐお分かりになられるのですが、お客様に分かって頂くようご説明するのは大変に骨が折れます(このお客様は簡易課税だからなおさら)。とりあえず、「売上も5%カットで計上されていますから同じことなんですよ。」とご説明したのですが、3月の訪問時に改めて紙と鉛筆で説明してこようと思います。※再度ベスト5入りを目指して参ります。クリックのご協力をお願いします!人気ブログランキングへ