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カテゴリ:笑いすごそう
古本400円で買って読む。
近松門左衛門が大好きで、筆名を決めた作者、3篇の小説を見る限り、心中物とは無関係だが情痴物ではある。 茫洋として、のっぺり頼りなさそうな作者の写真(大正4年、38歳時)のごとく、本人らしい売れない、そしてあまり書けない作家の主人公は、気弱で生活力がなく、女に執着するものの裏切られたり逃げられたりする破滅型である。 『黒髪』は京都の芸妓にのめり込み、つぎ込むが…、彼女の仏壇にあった2枚の写真に、あっとする場面で終わる。 『別れたる妻に送る手紙』は逃げた女房に連綿と手紙を綴るが、なんとその後に出会った芸者のことののろ気、そして弄ばれる付き合いにもかかわらずの執着の結末、ああ、小説を通しての長文書簡なのだ。 『疑惑』では籍を入れていない妻の、下宿人の学生との不倫らしき場面を目にしながら、意気地なく…。 こういう貧乏作家のあからさまな告白ストーリーは、逆に当時の読者層には、馬鹿馬鹿しくも憐憫の情をともなって、受けたのではなかろうか。 これを読んで余輩は思い立ち、父母の新婚時代のツーショット写真と、親父の実家の父母・兄弟妹総勢11人のモノクロ家族写真の2枚を仏壇に飾った。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2012年06月07日 21時53分18秒
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