ひとりごと♪

風邪も随分よくなったので
今日は、奈良・興福寺で特別公開されている
「お堂でみる阿修羅展」に行ってきました。




　　　　　　＊




お帰りなさい、阿修羅立像


今年の春先から、ご自身が主役の展覧会の為に、
東京＆福岡へ出張に行かれていた天平の美男子。


その美男子が、奈良に無事お戻りになったことと、
興福寺創建１３００年を記念して開催されたこの展覧会。



いつもは、興福寺・国宝館のガラスケース内に
収まっておられる美男子たちですが、

今回は、興福寺内のお堂（仮金堂）の中に
安置場所を変えての展示となりました。



薄暗いお堂内で、直に阿修羅像と対峙。



これにより、鑑賞客は普段以上に
古に想いを馳せることができる、という心憎い？企画なのです。




　　　　　　＊




阿修羅人気は、凄まじいものでした。。。



出かける前に混雑状況を
ハローダイヤル（050-5542-8600）に確認したところ、

本日９時の開館時には、すでに１５０分待ちの行列が出来ていて、
昼前にはそれが１８０分待ちになったとのお返事が。


ひょぇぇ～


さらにお話を聞いてみると、
会期中の最高待ち時間は、２４０分（４時間！）だったとか。
じゃ、若冲以上っ！



いやはや。
とにかく凄まじい。
阿修羅には、追っかけがいるのね？！



病み上がりの体に、
寒空の下の３時間～４時間待ち行列。。。orz

想像しなくても、風邪がぶり返してしまう危険性、
大いにあり。


ということで、急遽、訪問時間を
１７時過ぎに変更しました。（金・土・日・祝は１８時まで拝観可能）



これは大正解でした。


その頃になると、北円堂は、待ちなし入場。

阿修羅が安置されている仮金堂は、１０～２０分ほどで入場ができ、
仏像様たちの美を、たっぷり、ゆっくり、こっぷり、
最終時間まで鑑賞することができました。



開催期間残り後２日となりましたが、
行かれる方は、是非、遅い時間に。




　　　　　　＊




月並みな感想となりますが、

お堂でみる“阿修羅”の美しさは、
想像していた以上でした。


十代弟子・八部衆像ともに、
国宝館におられる時よりもはるかに、
活き活き・のびのびと、力が漲っておられるように感じました。


“我々は、ケースの中ではなく、
お堂のなかに安置されてこそ、役目を果たせるのだ”と
全身から主張しているかのようでした。



国宝館に戻さずに、ずっとここに展示しておけばって
言いたくなるくらい、あまりにも自然で美しかったですね。





「阿修羅立像」

シンメトリーで端正な、正面のお顔。
生け花でいう三才格のような位置取りをした（ちょっと違うけど）
細長い３対の腕。
繊細で美しい衣装。


ほれぼれ。


今回は、正面のお顔だけでなく、
横２つのお顔もじっくり鑑賞してきました。


正面の複雑な憂い顔と比べて
横の２つのお顔は、幼く単純で素朴な感じがしました。


このお顔の違いは意味があるのか、
製作者が力を抜いたのか、
どっちなんだろう。。。





「八部衆像」


この中で一番、私の心に残ったのは、
畢婆迦羅像（ひばからぞう）。音楽をつかさどる神様。


髭をたくわえて、小難しいお顔をされているのですが、
身にまとわれている衣装の美しいこと。


八部衆像の中でも一番に
衣装の柄が残っていたのではないかな。


天平に生きた人々のセンスのよさに
感服です。





「無著・世親菩薩立像」（北円堂）


兄弟僧侶の、どっしりとした大きな像。
運慶の代表作とのこと。

弟僧侶（向かって左）の世親の目（玉眼）が
キラリと光って印象的。

鑑賞している私の心の中を全て
見透かしているんじゃないかと思いました。


深い洞察力。
この僧には、嘘はつけない。
思わず、心の中を洗いざらい白状したくなりました。




　　　　　　＊




素晴らしい展覧会でした。
行けて満足。ありがとう。


1300年の歴史あり！　3つの顔と6本の腕を持つ国宝・阿修羅像のカレンダーです。マニアにはたまらない1本。2010年カレンダー　国宝阿修羅


興福寺　ＨＰ