カテゴリ:誘水日記
縁のあった編集者が亡くなった。 85歳。 小さな出版社を経営し、 スピリチュアル系の本をコツコツと出していた。 最後の一冊が自分の足跡をまとめたもの。 ぼく自身の本は一冊も出なかったが、 ライターとして何冊かお手伝いした。 昔ながらの化石のような編集者。 がんこもがんこ。 自分の主張は決して曲げない。 「こうだ!」と断言しないと気がすまない。 だから、 ぼくのように、 こういう考え方あるし、こうも解釈できるという軟弱な考え方には、 「No!」と鉄槌がくだされる。 戻ってきた原稿は真っ赤。 ほとんど書き直ししないといけない状態で返ってくる。 理不尽な指摘も多々あるし、 「こんな仕事やってられない」と何度思ったことか。 だけど、 そこは気の弱いライターのかなしさ。 気を取り直して、 修正することになる。 2回目も真っ赤。 こうだああだと、ファミレスで議論した。 どれだけストレスをためたことか。 やっと仕上がって、 「もうあの人の仕事はしない」と決めるのだが、 それでも、 たまに会うと、 また首輪をつけられてしまう。 そんな付き合いだった。 しかし、 何年か前、 ぼくは自分の文章がとてもていねいになっていることに気がついた。 勢いで書くタイプなので、 ずいぶんと乱暴な表現が見受けられる原稿だった。 彼と付き合った数年で、 あの赤字のオンパレードで、 ぼくも鍛えられたのだろう。 そう思うと、 腹が立ったこともなつかしく思い返せる。 85歳まで現役で働いて、 出版パーティの朝に救急車で運ばれ、 翌日に旅立っていった。 大した人生だと思う。 山梨へも訪ねてくれた。 彼がどんな一生を送ったのか、 最後に残した本を読んでみようと思う。 道中御無事で! ぼくの恩人の一人だ。 ありがとうございました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2024年10月17日 07時55分49秒
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