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本の足跡

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2007年04月11日
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テーマ:本日の1冊(3698)
カテゴリ:や行 男性

天使のナイフ

“天使のナイフ”

評価:★★★★☆

 

ミステリー長編。

妻が惨殺された。犯人は13才の少年3人。しかし、犯人達は少年法に守られ、彼らがどんな人物なのか、彼らが育った家庭環境はどんなものだったのか、そういった被害者遺族が知るべき最低限のことさえ、夫には教えてもらえなかった。そうして、犯人への憎しみが消えることのないまま4年近くの月日が流れた。そこへ突然現れた刑事。彼は驚くべき事を口にした。なんと、犯人の少年の一人が殺されたというのだ。どうやら自分は疑われているらしい。自分は犯人がすでに普通の社会生活をし始めていることさえ知らなかったのに・・・。そして彼は真相を知るため動き始めた・・・!!

途中に、被害者である妻の過去について分かってしまい、「先が読めるとなんかもうつまんないんだよな~・・・★3つだ」なんて思ってたけど、さすがは乱歩賞受賞作です。最後にありました、どんでん返しが!!見事にうっちゃりをくらいました!!爽快♪

また、色々と考えさせられる本です。少年法の意義って?更正って?

私は少年であろうとも重大な罪を犯した人間は厳罰に処するべきだと思います。「少年の更生」とか「少年の人権」なんて声高に叫ぶのはどうだろう?(もしやむを得ない事情があるならば、それは少年であろうとそうでなかろうときちんと配慮した判決がなされるであろうしね。)もちろん、ただ罰すればいいというのではなくて、きちんとした更正教育も同時にしなければならないだろうけれど。今の仕組みは犯した罪に対する罰の部分が全くないのが変なんですよね。

少年にはたしかに前途があり、守られなければならないのかもしれない。それもわかる。しかし、何の非もなく殺害された人間にも前途があったでしょう?被害者遺族は一生癒えない傷を負っていかなければならないでしょう?現在は少年法ができた当時と社会的背景は大きく変容しているわけだし、なによりも加害者の人権に比重がいきすぎです。

刑法なんて合法な復讐みたいなもんだと私は思っているので(もちろん目的刑という側面も大切ですが)、少年というだけで、経歴にまったく傷がつかず、社会全体で大量の税金を用いて彼らを守り、養い、社会に復帰させるなんて(それに対し遺族に支払われるお金やら配慮のなんと少ないことか!!)遺族感情にも全くそぐわないと思う。

少年事件が起きると過剰なまでに加害者のプライバシーが守られ、その反動なのか、事件の被害者っていうのは加害者以上に取材され、私生活を詮索されて・・・ひどいもんです。こういったケースのメディアスクラムは目に余るものがありますね。これが平生「プライバシー」と声高に言っているメディアのすることかといつも思ってしまいます。

・・・とまぁこんな具合に(笑)非常に考えさせられるお話でした。






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最終更新日  2007年04月11日 07時13分46秒
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