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テーマ:本日の1冊(3697)
カテゴリ:日本文学・古典 etc
“仮面の告白” 評価:★★★★☆
--- 梗概 ------------- 「私は無益で精巧な一個の逆説だ。この小説はその生理学的証明である」女性に対して不能であることを発見した青年が、幼年時代からの自分の姿を丹念に追求するという設定のもとに、近代の宿命の象徴としての“否定の呪われたナルシシズム”を開示して見せた本書は、三島由紀夫の文学的出発をなすばかりでなく、その後の生涯と文学の全てを予見し包含した戦後文学の代表的名作である。(裏カバーより) ---------------------- 私は何ものかが私を殺してくれるのを待っていた。ところがそれは、何ものかが私を生かしてくれるのを待っているのと同じことなのである。 (P193より)
ちゃんと読んだ三島作品ってこれが初めてです、恥ずかしながら(;^ω^A (以前『不道徳教育講座』を読みましたが、それはエッセイでしたので。) 女性に対して全く欲望を持てない主人公の煩悶が描かれています。とはいうものの、単なるマイノリティーの悩みという浅薄なテーマに終始するのではなく、それを端とした深い深いものが描かれています。 ん~いいです。とっても深遠。やはり文学作品はすごいですね。太宰治を読んだときにも思いましたが、思春期の苦悩や人間としての懊悩等、誰もが経験するぼんやりとしたものを明確な形にする。これぞ文学っ!!(*´ー`) 文豪はやはり凡人とは違います。誰しもが経験するけど時がたつうちに忘れ去られてしまう気持ち。そういうものを、さらりと通り過ぎてしまわずに思索する。そして文学作品へと昇華させる。ここが文豪の文豪たる所以なのではと思います。 時には難解で、婉曲な言い回しがあったりしますが、それもまた妙味。じわじわと文学のおもしろさに目覚め始めた(気がする)今日この頃(*^m^*) === 88冊目 読了 === お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008年09月04日 08時39分47秒
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