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テーマ:本日の1冊(3696)
カテゴリ:光文社古典新訳文庫
“菊と刀” 評価:★☆☆☆☆
ひどい愚書・・・。 高等生物(=欧米人)が、下等生物(=日本人)を、自分たちに都合のいいように使えるよう調教するため、その習性を研究した本。人間ではない、知能の低い動物の特性とその調教法が書かれた研究本を読まされているようで非常に不快。 日本人を人間とも認めない雰囲気がそこかしこに漂っている。 日本文化のとらえかたも、ほんの一部だけをみてそれが全てかのように決めつけており、広く深い考察が成されておらず、研究としても体をなしていない。 一つの事象があるとする。その事象は見る角度によって様々な見え方をする。しかし、ベネディクトは、自分が立っている位置から見えるものだけがその事象の全てであるかのように決めつけて書いている。色んな角度から物事をみるということがされていない。 ベネディクトは、アメリカ人は正しく日本人は誤っているという、バイアスがかった見方で日本文化を考察している。だから、この本は日本文化研究書ではなく、アメリカは正しいということを、日本という愚かな国の文化を引き合いに出すことによって証明・強調しようという結論ありきの論文であるといえる。 とにかく、アメリカを礼賛し、日本を徹底的に貶める本。日本文化に理解を示しているような文章も時折見られるが、それは白人によくある建前の博愛主義すぎない。結局は日本人を人間とも認めないという本音が滲み出てしまっている。 原爆投下を正当化するような文章、すなわち、知能の低い生物(=日本人)の暴走を止めるために、世界の正義として原爆を投下したかのような文章も噴飯もの。 この本の中で一貫しているのは、アメリカは常に正しく、賢い。だから、それに刃向かうもの、異なるものは全て間違いで愚かである、という姿勢である。 これは、愚書の中の愚書としか言いようがない。 === 133冊目 読了 === お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008年12月20日 22時40分41秒
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