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本の足跡

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2011年01月24日
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テーマ:本日の1冊(3696)
カテゴリ:新書

 マネジメント信仰が会社を滅ぼす

評価:★★★★★

 

【内容情報】
マネジメントが下手だから会社が傾くのではない。マネジメントなんかに頼ろうとするから会社が傾くのである。本業で稼げない時に人事制度や情報システムを精緻化させて何の意味があるのか。どんなに見栄えのよい事業計画を作っても、経営者に「意志」がなければ机上の空論である。日本企業は今こそ、「マネジメント信仰」をすてて、愚直に「ビジネス」と向き合うべきなのだ。組織人に覚悟を促す警世の書。(「BOOK」データベースより)

【目次】
序章 マネジメントがビジネスをダメにする/第1章 症状(1)意見はあっても意志はなし/第2章 症状(2)都合のよいことばかりを考える/第3章 症状(3)管理はするけど無責任/第4章 症状(4)顧客よりも組織を重視する/第5章 日本企業の危機的状況/第6章 経験と勘と度胸を重視せよ/第7章 他人を変えるより自分が変われ(「BOOK」データベースより)

 

他人のモチベーションをコントロールできる手法があるのならば、親や教師はその方法を使い、世の中は優等生ばかりになっているはずだ。現実に、そうなっていないということは、他人のモチベーションをコントロールできる方法はないということを証明している。  (中略)  マネジメント信仰も同じことだ。企業の業績を確実に向上させるマネジメント理論や手法など存在しない。マネジメント理論や手法自体は、どこかの会社で成功した事例に基づくものかもしれないが、それがあらゆる会社に通用するとは限らない。セミナーやマネジメント本で紹介されている理論や手法を真似したところで、成功するとは限らない。

(P148より)

 

閉塞感で満ち、混沌とした現代日本には慧眼の書。

著者は、会社の最終目的はビジネスの成功であり、マネジメント理論はその目的実現のための手段に過ぎない。ビジネスが“主”であり、マネジメントはあくまで“従”にすぎない。という至極当たり前のことを主張している。

ご留意いただきたいのは、著者は決してマネジメント理論を全否定しているわけではないことだ。マネジメント理論はうまく使ってなんぼなのに、現在は会社がマネジメントという言葉に踊らされ本来の目的(=ビジネスの成功)を見失い迷走していることに著者は警鐘を鳴らしている。

 

この主張は、ビジネスだけでなく政治にも通底している。

卑近な言い方であるが、政治とは本来、日本国・日本国民のあるべき姿、向かうべき方向の確たるビジョンがあり、それを実現するためにはどうするべきかを多角的に検討しながら、目的を実現していくものである。

マニフェストやアジェンダなんてのは、目的実現のためにどうすべきかの手段や目標をまとめた従的ものであるはずだ。目的実現(=主)ありきのマニフェスト(=従)であるにも関わらず、現状は、“従”に踊らされ、耳目に入りやすい文言をうたい、目先の支持を得ることだけに終始する。

主客転倒甚だしいのが現状だ。本来の目的を見失い、みな保身にばかりとらわれている。

長期的ビジョンを持たず、繰り返される近視眼的な主張、議論。他を批判するばかりで実現可能性のある対案出せず。

出口の見えない状況を打破しなければならないのに、その手段が分からず。また、分かっていても、何か行動して失敗・批判されることから逃げ、相手を蹴落とし己の現状を維持することに終始する。

誰もがこの閉塞感に満ちた現状を脱却したいと思っているはずなのだが、現況を打破してくれる誰かが現れるのを待っているだけなのだ。自分がその誰かになることはしない。すっかり守りの姿勢が染み付いてしまっている。

 

・・・すっかり脱線していつのまにやら政治論になってしまってる(笑)

本題に戻って。

かなり溜飲が下がる一冊です。マネジメント本、マニュアル本が巷間に溢れるいま、ここまではっきりと、マネジメント理論やらマニュアルに踊らされてるなんて愚の骨頂!!(いや、ここまではっきりは言ってないですけど(笑))って主張されているので、すんごくすっきりします!!

ビジネスでも政治でも、自縄自縛に陥った日本社会に一石を投じる一冊ではないでしょうか。

=== 9冊目 読了 ===






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最終更新日  2011年02月09日 11時20分37秒
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