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テーマ:本日の1冊(3696)
カテゴリ:外人作家
評価:★★★★☆
ミステリー長編。 --- 梗概 ------------- だあれが殺したコック・ロビン?「それは私」とスズメが言った-。四月のニューヨーク、この有名な童謡の一節を模した不気味な殺人事件が勃発した。マザー・グース見立て殺人を示唆する手紙を送りつけてくる"僧正"の正体とは?史上類を見ない陰惨で冷酷な連続殺人に、心理学的手法で挑むファイロ・ヴァンス。江戸川乱歩が称讃し、後世に多大な影響を与えた至高の一品。 (「BOOK」データベースより) ----------------------- ものごとがそんなに素朴にてきぱき運ぶものだったら、人生もたいそう単純な-----そして索漠たるものになるだろうがね。 (P106より)
ファイロ・ヴァンス!!(*´∀`*)名探偵ヴァンスは、この作品を皮切りに次々と新訳となって再登場するそうです(*゚∀゚) 新訳ということもあって、海外作品にしばしばみられる読みにくさが雲散霧消!!訳者の力量にもよることは言わずもがなですけど(*・∀・*)
おもしろいですねーーーマザーグースになぞらえて起こる殺人事件・・・犯人の目的は?そして凶悪な殺人を繰り返す犯人は一体誰? ってなもんで。 驚きの結末でした。読んでいて「あぁこの人が犯人なのかーーどんでん返しもなかったしあんまりだったな・・・」と思ったところ!!ひっくり返っちゃいましたよ!!大どんでん返しどんでん返し!!ひっさびさのすかっと感!!圧巻でした♪
内容もさることながら、訳が素晴らしくていいです!!いや、英語で作品読んだわけじゃないですけど(;^ω^) 例えば、以下の訳。すごくセンスがよくて美しいと思うんです!!日本語のチョイスと文のリズムが絶妙。なおかつ短いセンテンスで言わんとすることがびしっと表現されている。 ヴァンスの質問に精神科医が答えるというシーン。この医者の患者が事件を起こしたのではないかということで、ヴァンスが医者に尋ねる。患者は、殺人を犯すほど精神を病んでいたかどうかと。医者は、そこまで危険なら患者を世間に出しはしない。ちゃんと入院させるなりなんなりしかるべき処置をとると。自分の医者としての見立てにケチをつけられた気がして医者は憤慨した。 とまぁ要約するとこういうシーンで医者が発したセリフです。( )内は私が加えた説明。P195より。 (もしそんな危険人物なら世間には出さない。なぜならもしそんなことをすれば、それは)私が公衆の安寧に対してのそしりを受けることですから。 よくないですか?すごくないですか?すごくセンスがいい文章だと思いませんか!? 翻訳家ってすごいですよね!!だって、少なくとも、二ヶ国語を両方とも知悉していないとできないし、何より読解力を必要とされるんですもの!! 例えば英語→日本語に訳すとしたら、英語がめっちゃできても、まず、文章の意味を的確に読み取る力がないと書かれた文章を理解できても、訳はできない。そして、読み取った英語を的確な日本語で表現するには、日本語の知識がないとだめなんですよ。 ものすごく卑近な例を言えば、“Seeing is believing. ”とあったとする。これは、辞書さえあればとりあえずは訳せる。“見ることは聞くこと。”って。でもそれは訳ではない!!これを的確に日本の読者に説明するなら、“百聞は一見に如かず。”としないと。 訳すだけなら辞書片手になんとかできる。けど、それじゃ作品としてはダメですよね。 だから、自然と文章が沁み込んでくる訳本に出会うと、訳者に感謝するとともにその知識・センスに感服させられます。 素晴らしい訳のためには、読解力・センス・言葉の知識がとてつもなく求められる。素晴らしい翻訳者ってすごいですよね。敬服です。
この作品も、素晴らしい翻訳者のおかげでとても楽しめました♪訳が下手だと作品自体がだめになっちゃいますもの。 はぁーーー美しい日本語でファイロ・ヴァンスに会えてほんとよかった♪新訳で全集そろえるぞーーー(*´∀`*) === 24冊目 読了 === お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2011年02月14日 18時51分37秒
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