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テーマ:本日の1冊(3696)
カテゴリ:光文社古典新訳文庫
評価:★★★★★
--- 梗概 ------------- 男爵家の一人娘に生まれ何不自由なく育ったジャンヌ。彼女にとって、夢が次々と実現していくのが人生であるはずだった。しかし現実はジャンヌを翻弄し続ける。乳姉妹だった女中のロザリが妊娠し、その相手が自分の夫であることを知った時、彼女は過酷な現実を生き始めたー。(「BOOK」データベースより) ----------------------- 今日は友達の見舞いに行ってきましたーーー。やっぱ友達はいいですね。今までの鬱鬱した気持ちが一気に吹き飛びパワーをもらってきました♪いや、病人からパワーもらってちゃ立場逆だろっ(笑)
二人の人間が、本当に魂の底まで、思いの底までひとつになることはできないのだと、ジャンヌは初めて思った。肩を並べて歩き、ときに抱き合うことはあっても、ひとつに溶け合うことはなく、心の底では誰もが生涯一人ぼっちなのだと。 (P118より)
モーパッサン!モーパッサン!!モーパッサン!!!大好きだぁーーー(*´∀`*) 以前読んだ『モーパッサン短篇選』がすんごくよかったから今度は中長編をと思いながら幾星霜。 ようやく長編読みました。 いやーーーもうすごいのなんのって!!むきゅーーーってなります、読んでると!!胸が締め付けられるようなのたうちまわりたくなるようななんとも言えない感情のカオスですよ!! 21世紀を生きる日本人女の私の感覚から読むと、この主人公はなんとも無垢、というか無知。常に他力本願で、うまくいかないことは全て運が悪いとか、周囲が悪いとかいいながら嘆くのです。 でも、これは今の感覚で読むからそう見えるだけで。昔の時代の女の人ってそうだったのかもしれない。常に周囲の人間、父親や夫や子供、に人生を左右される。生殺与奪の権を握られている。でもその事実に不満や疑問を持つ知恵さえない。それが当たり前だと思っている。(良い悪いは別ですよ?時代ですから。今の価値観で過去を裁断するような愚を犯すつもりは豪もありませぬので悪しからず。) 日本でも女に学はいらないって言われた時代がありましたし。確かに意味はよくわかる。変に学をつけるから、男女同権だとか家事分担だとか言い出すようになる。なら、そんな小賢しさを身につけさせることなく、女は家に入り、家族を支えるものだと教育した方が、全てうまくいきますものね。良し悪しはこれももちろん別にして。 おっと話がずれました。閑話休題。 主人公もそういう時代の無垢で無知で幸せな結婚に憧れる女なのです。 生家も申し分なしで何不自由なく無垢なまま育った主人公の人生の歯車が狂い始めるのは、結婚が発端です。 結婚相手が吝嗇家の浮気者。 私だったら即離婚だと思いますけど(笑)主人公はそんなことは考えず耐える。でも苦しいから神や不運を恨んだり、夫の不実を嘆き憤怒する。 そして、夫で満たされない気持ちを今度は子供に向ける。ひたすら子供を溺愛する。 でもそんな歪んだ愛情を注がれた息子がまともになるわけもなく、息子も母から離れていく。 夫にも息子にも振り向いてもらえなくなった女はひたすら神を恨み、周囲をけなし、自分の不運を嘆く。 そんな女(たち)の一生。 主人公の、ひたすら誰かによりかかり左右され続け、自分の意思を持たずに全てを他人に委ね続ける姿勢が如実に表れている会話が以下。嘆く主人公ジャンヌに答える女中ロザリ。(P372より)
「ああ、私は運が悪かった。何もかも、うまくいかなかった。不幸な運命から逃れられなかった」 (中略) 「ジャンヌ様、そんなこと言っちゃいけません。いけませんったら。結婚相手がいけなかっただけです。相手のことをよく知らないまま結婚したって、うまくいく人もいれば、いかない人もいるんですからね」
とまぁこんなぐだぐだ長くとりとめない説明だと三流小説みたいですけど(笑)実際はもっと含蓄のある、深遠な話なのです。それこそ様々な解釈ができるし、読んだ時の年齢や心情によってまったく違った見方ができる一冊だと思います。 素晴らしい!!ただただ素晴らしく感嘆するのみです!! ワンダフル!マーベラス!!ビバモーパッサン!!アイラブモーパッサン(笑) === 87冊目 読了 === お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2011年08月30日 14時48分49秒
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