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テーマ:本日の1冊(3696)
カテゴリ:は行 男性
評価:★★★★☆
長編。 --- 梗概 ------------- 「倉持修を殺そう」と思ったのはいつからだろう。悪魔の如きあの男のせいで、私の人生はいつも狂わされてきた。そして数多くの人間が不幸になった。あいつだけは生かしておいてはならない。でも、私には殺すことができないのだ。殺人者になるために、私に欠けているものはいったい何なのだろうか?人が人を殺すという行為は如何なることか。直木賞作家が描く、「憎悪」と「殺意」の一大叙事詩。(「BOOK」データベースより) ----------------------- 人のことは外側からじゃわかんないよ。この世じゃみんなが騙し合いをしてるんだ (P597より)
読後すぐ思ったのは、モーパッサンの『女の一生』みたいだなということ。 これは、言うなれば、『男の一生』。 主人公は確かにどうしようもない不幸に見舞われます。けれど、それは決して軌道修正できないようなものではなかった。 主人公の強い意志や信念さえあれば、彼の人生は全く違ったものになったはず。 けれど、強くばかりいられないのも人間だったりするんですけどね。 主人公には何度かターニングポイントがありました。でも、最後の最後でいつも(後から振り返ると)悪い方の道ばかりを選び、結局は悲劇的な最期を迎えてしまいます。 そこで踏みとどまれば!!そこで強い意志を持っていれば!!等々思わずにはいられないけれども、流されてしまう主人公の弱さもよくわかる。 難しいですね人生って。強くありたいと、あらねばならぬと思っちゃいても、弱くつい周囲に流されてしまうこともある。 非常に感慨深い一冊でした。しんみりしちゃいますね。うん。 === 94冊目 読了 === お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2011年10月03日 18時05分02秒
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