ロードオブザリング 「指輪物語」
大雨警報発令...好きな本を開きましょうか梅雨の終わりには大雨が多いように思います。こんな日は読書に限ります。いつも娘が読んだおすすめ本を借りて読むのですが、そんな本が回ってきていない時はたいていこれを読みます。「指輪物語」です。学生時代からの指輪物語のファンでこの本は1970年代にサンフランシスコの本屋で見つけたものです。全巻の入った装丁で初めての挿絵の入り、私の宝物です。アラン・リーの挿絵は、作者トールキンが読む人の心の中に投影したいと思っている情景をとてもよく視覚化して伝えてくれています。旅に出たフロドとホビットの仲間がはじめてエルフに出会うシーンです。森の中でエルフに出会えたらどんなに素敵だろうと想像しながら読んだものです。フロドがエルフのギルドールに「エレン・シラ・ルメン・オメンティエルボ」とエルフの言葉で話してる様子を、その場に引き込まれ木の後ろに隠れて見ているような、そんな気持ちになって読んだのを覚えています。これはエルフの国、ロスロリエンの統治者ガラドリエルがフロドに水盤の鏡を見せる場面です。フロドとサムはこれからの過酷な旅で待ち受けているもの、遠い未来の幻影をそこにみるのです。アラン・リーの挿絵のついた指輪物語を読むと、文字だけで読んでいたときには想像の世界の中でしか知覚できなかった情景が、実際に目にしているかのように、それまで空想の中でしか見られなかったものが、現実にこの世のどこかすぐそこに存在しているかのように思えてきたのを覚えています。The Lord of the Rings、指輪物語はJ.R.R.トールキンの作品で1937年から1945年の間に書かれたものです。初版は1954年~55年で3巻に別けられて出版されました。遥か昔の地球で起きたことですが、中つ国というところが舞台でホビット、エルフ、人間、魔法使い、オーク、トロルなど多彩な種族が登場します。2001年から上映された「ロードオブザリング」の三部作で有名になりましたが1970年ころから若者の間ではファンが多かったように思います。その後のファンタジー小説にも大きな影響を与えました。アメリカで爆発的に人気が出たのは、60年代にペーパーバックの出版社がトールキンの許可を得ずに、アメリカで手ごろな値段で出版したのがきっかけのようです。その後トールキン生誕100周年に新装版として挿絵の入った装丁本が出されました。その時のアラン・リーのイラストが監督のピーター・ジャクソンに感銘を与え映画のコンセプト・デザイナーとしてもアランを起用したのだそうです。「指輪物語」の歴史はざっとそんなところです。若いころから何度も読んでストーリは分かっているのですが最近では徒然に適当に本を開いてそこから読み進めることが多いです。映画のおかげで日本でも装丁版が出版されています。しかしこちらの挿絵はアランのものに比べると味気なく思え想像を掻き立ててくれるようには感じられないのが残念です。とはいえ、日本語でも子どもたちも読み、ファンになっっていきました。子どもたちは「映画もすごく良かったけど、本のほうが引き込まれる」といいます。映像を追うのではなく、ページをめくって読み進んでいくと心に響く、深い含蓄のある言葉がたくさん散りばめられているからでしょうか。例えば、ゴクリという指輪に取りつかれた者を殺せる機会があったのに魔法使いやエルフたちは彼を殺さずにおいたのです。それを魔法使いのガンダルフから聞いたフロドは「なんといってもあいつは...悪いやつです。死んだっていいやつです」といいます。ガンダルフは「...生きている者の多数は、死んだっていいやつだ。そして死んでいく者の中には生きていてほしい者がいる。...死者に命を与えられるか?もしできないのならそうせっかちに死の判定を下すものではない。...善にしろ悪にしろ、彼には死ぬまでにまだ果たすべき役割があるやもしれぬ..」というのです。美しく勇ましいアルウェンと人間の王の末裔アラゴルンの愛の言葉。神秘的なガラドリエルが与える忠告。裂け谷のエルロンドの時を超えたつぶやき。何度読んでも、読むたびにその時の心に灯のともる思いをするものがあります。映画のヒットと共に次々と関連する本が出版されたのもうれしい限りです。「赤表紙本」といわれる指輪物語の前の話「ホビット」。英語版は持っていたのですが日本語版も購入しました。もっと昔の時代の物語「シルマリルの物語」神々、そして力の指輪を作った冥王サウロンのことが書かれています。中つ国の歴史、地図の本。中つ国の世界を描いた画家たちの画集。それらに加えて多彩な登場人物や国、植物動物に至る名前を知ることのできる事典。いろいろ揃えて「指輪物語」とその世界を楽しんでいます。おやおや、こんなことをお話している間に警報が解除されました。午後は1ページも読むことができませんでしたが、夜また開いて読むこととしましょう。またいつか指輪物語のお話をすると思います。壮大なスケールの物語に浸ってその余韻を残しておきたくなるでしょうから。 【楽天ブックスならいつでも送料無料】指輪物語(全10巻) [ J.R.R.トールキン ]【楽天ブックスならいつでも送料無料】ホビットの冒険(上)新版 [ J.R.R.トールキン ]【楽天ブックスならいつでも送料無料】ホビットの冒険(下)新版 [ J.R.R.トールキン ]【楽天ブックスならいつでも送料無料】シルマリルの物語新版 [ J.R.R.トールキン ]