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せーぐる

せーぐる

2004年08月27日
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カテゴリ:コラム
 パン作りのプロフェッショナルとアマチュアの差は?

 いろんな観点から、語られる事の多い話題の一つだと思う。

 私自身は、パンに関しては技術者であるが、それ以外は趣味人を超えるレベルではない。料理しかり、音楽しかり、芸術鑑賞しかり。でも、その趣味達は、結局、パン作りにつながってくるのだが、気持に差がある。その差は一体どこに出てくるのか。

 私は、「一つのテーマを追求して、掘り下げていく」のがプロの技術者ではないか、と思っている。
 趣味での私のスタンスは「ある程度できて、ある程度満足できたら、それでいい」という程度。

 このスタンスの違いは、作るものが、誰によって受け止められるか、という点が、一番の差になっていくのだと思う。
 
 プロの場合、自分の作るパンは、御客様がいて、はじめて成り立つ。御客様が受け入れる事のないパンを作っても(それは、レベルの高低を含めて)、食べてもらえないパンを作る事は、自己満足に過ぎない。自己満足で終わらせてはならないところが、プロの技術者に課せられた使命であると思う。しかも、そうでないと、食いっぱぐれてしまう危険もある。

 趣味のアマチュアの場合、作ったパンは、とりあえず、自分が作る事に満足すれば良いし、それが他人に「美味しい」と言ってもらえれば、なおさら良い。それが、趣味の世界である。
 出来不出来があってもいい。失敗を繰り返してもいい。とりあえずは、自分が楽しめれば、それで「趣味」としては目的を達成している。
 それに加えて、なんとなく本業のレベルに近付ければ、それはそれで、嬉しい事だ。
 
 職業として、食えるか食えないか、という意味での、プロとアマの差は、完全なる性質の違いである。

 しかし、共通である「パンを作る」と言う面に関しては、プロでもアマでも、一緒である。パンは、誰が作ろうと、パン。パンの前に、人は平等である。

 パンは食べ物である。それを美味しく作るか、そうでないものを作るかは、作り手次第。技術と知識と経験がものを言う。

 とにかく、プロだろうと、アマチュアだろうと、「パンの事(そして、パンにまつわる事)」を知る事が重要な要素になるのではないか、と思う。
 知る事は、人それぞれの段階でいいと思う。お気軽に作りたい人は、お気軽に作る為の知識でいいし、逆に極めたい人は、極める為の知識を求めるのが良い。

 しかし、それでも、「自分が知っていないと言う事実」を知るという事が、大切な要素だと思う。
 いわゆる「無知の知」と呼ばれるものである。これは重要な事だと思う。

 生まれてすぐに、大人と同じぐらいの知識や経験を持っている子供など存在しないのと同じ事で、パン作りはじめてから、全ての要素を知っている人など存在しない。
 つまりは、学習することにより、パン作りを学んでいくという事になる。

 人は歴史書に書かれている以前から、パンを焼きはじめた。その累積した知識の恩恵を受け、私達は、今の世で、パンを焼いている。
 その「蓄積した知識」を、自分の知識として取り入れ、自分の血とし、肉とし、自分のパンを作り、次の世代へと伝えていく。これが、人類が人類たる所以であるし、それが知識の累積となりえる。

 パン製法というものは、今に生きている私達自身が発明した技術ではなく、先人達の苦労や失敗によって蓄積した知識によって作られている、という事を知る事は大切な事だと思う。

 これから、パンという食べ物が、どのように変化してのかは、私にはわからない。
 しかし、先人の知恵は、既に存在している事実なので、少しだけ調べる手間さえ怠らなければ、先人の知恵を知る事ができる。

 そういった知識や知恵から学びとった事を自分のものとして、私はパンを作り、パンを食べててもらい、少しでも「美味しい」と言っていただければ、それがパンを作る者としての何よりもの喜びだと思う。

 人それぞれ、どんなパンを作ってもいい。100人居たら100種類のパンを焼いてもいい。どんなパンを作りたいか、バラバラでもいい。

 でも、先人の苦労によって蓄積された知識については、すこしだけでもその事実を頭の片隅にでも、入れておいて欲しいと、私は願っている。

 そして、そう考え、そう行動する事が、これからのパン作りという製パン技術の将来の世界を、より一層広げる礎になると、私は思っている。

(2004年9月3日に、タイトルと文章を改編しました)





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Last updated  2004年09月03日 22時05分12秒
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