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テーマ:これまでに読んだ本(1062)
カテゴリ:日本史・世界史
まだ不十分な政治史中心からの脱却
近年は「多面的多角的な視点から、歴史的事象を考察させる」ということを、文科省は学習指導要領の中の「教科の内容」の中心課題としてきた。それは、中学校で言えば「地理的分野」、「公民的分野」においても同じことである。 しかし、記述は多角的になってきているが、経済に関しては教科書で書くには難しいこともあるのか、まだまだ不十分だった。この本を読んでいて、なるほどそうだったのかと気づかされることも多かった。 「経済で読み解く日本史」 (著者の肩書は経済評論家、経営者となっているが、YouTuberともある) キャッチコピー 「教科書が教えない「経済の掟」が歴史を作った! お金の流れが物語る、まったく新しい視点の日本通史」 海外留学や企業勤務の経験もあり、経済政策の面で前安部政権の経済政策と歩調を合わせてきた経過もあるようだ。一般には右翼経済学者という「定評」がある。いずれにしても、経済の専門家の視点で歴史を読み解いてゆくという手法が目新しいのは事実だ。 例えば、延暦寺の僧兵の横暴を、白河法王は「三大不如意」に挙げている。これは『平家物語』の巻一に、白河法皇が「賀茂河の水、双六の賽、山法師、是ぞわが心にかなわぬもの」と嘆いたという逸話があることからきている。 白河天皇は、摂関家に対抗して天皇親政を行い、20歳の子を堀川天皇として即位させ自らは太上天皇として、「院政」を行った。その白河上皇でさえ手に負えなかった延暦寺というのは一体何なのか。神輿を担いで都に乱入し自分たちの経済的特権を無理やり認めさせる(強訴)など、実は宗教寺院とは言っても一つの巨大な財閥だったのである。 そのことが、この本を読んでより具体的に分かってきた。シリーズ化されているので、SNSでの炎上とは関係なく、今後も読んでいきたい本である。 ↓ランキングに参加しています。良かったらクリックをお願いします。 にほんブログ村 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2020/12/06 04:24:29 PM
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