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Shige & Happy の 気まぐれ写真日記

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Shige&Happy@ Re[1]:実践しているデンタルケア(12/24) mabo400さんへ 一旦始めると、毎食後やら…

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2021/05/18
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テーマ:日本史(1738)
カテゴリ:日本史・世界史
​環境史の視点から日本史を切り取る​​​​

 第7回目で紹介するのはイアン・ジャレッド・ミラー教授である。専門は環境史。ハーバードでは「中国、日本、韓国の環境史」を教えている。彼は1993年から2年間宮古市の小中学校で英語を教えた。だから、東日本大震災以降は、日本のエネルギー史にも関心を寄せるようになった。

  例えば1853年のペリー来航。これを環境史の視点から見るとどうか。それは「石炭」と「鯨油」という二つの資源要素が関わっているという。石炭も鯨油も、江戸時代の日本人の生活には関係が無かった。しかし、アメリカにとっては重要だった。実はペリーのとっては日本との貿易など重要な目的ではなかったのだ。

「イアン・ジャレッド・ミラー教授」

(環境史では自然は歴史の背景ではなく歴史を形作る生態系と考える)
​​​​         ※「ハーバード日本史教室」:佐藤智恵より​​

 幕末当時アメリカの捕鯨船が日本近海に来ていた。それは鯨肉が目的ではなく鯨からとれる油が目的だった。鯨油は灯火用としてだけでなく蒸気機関の潤滑油として重要だった。この辺りの事情は最近は中学校の歴史でも教える。

 もう一つの石炭だが、これは中国との交易に向かう船に石炭を補給してほしいというアメリカの要望だった。石炭の他にもちろん食料や水も含まれる。石炭は日本においては明治時代まであまり注目されていない。

 江戸時代に筑豊の石炭が瀬戸内海の製塩に用いられたという記録がある。また、元禄年間に貝原益軒は『筑前国続風土記』のなかで、筑前では石炭を庶民が薪の代用燃料としていたと書いている。しかし、石炭の重要性が高まったのは日本が近代化を図るために製鉄業を盛んにしようとしたことからだった。

 明治以降九州の自然環境が日本の近代化に貢献した。九州の炭田が海岸近くにあったことが、近代化にとって重要な意味を持った。筑豊炭田も、唐津炭田も海に近いし、長崎の高島のように陸の近くに海底炭田もあった。

 イアン・ジャレッド・ミラー教授は、日本はわずか50年で、バイオマス(ここでいうのは廃材、古紙、家畜の排せつ物、動植物から取り出される有機性のエネルギー源)から石炭に転換した。これは驚くべきスピードだったという。また電化も、明治から大正時代にかけて信じられない速さで進んだ。その理由の一つはロンドンやパリ、ニューヨークと比べてガスの普及が遅れていたことだという。

 書かれていることすべてが「目からうろこ」である。日本の教科書ももっと変わらなければいけないと思う。最後に「風の電話」のことを紹介しておく。自分はたまたまごく最近映画「風の電話」をレンタル店で見かけて観たばかりだ。教授がハーバードの授業でこの「風の電話」を使っていると知り親近感を抱いた。

 ​(※以下「ハーバード日本史教室」:佐藤智恵より引用)​

 岩手県上閉伊郡大槌町の海を見下ろす丘に「風の電話」という電話ボックス
があるのをご存じでしょうか。震災で会えなくなった家族や友人ともう一度言
葉を交わしたいという人々がここを訪ね、受話器を通じて「会話」をする場所
です。電話ボックスの中には線のつながっていないダイヤル式の黒電話が置い
てあります。~中略~
 死者を悼むということはまさに人間的な営みです。日本人も、アメリカ人も、
どんな国の人も、同じように愛する人の死を悼みます。
 では、なぜ遺族は「風の電話」を必要としているのでしょうか。そこには極
めて人間的な理由があるはずです。どうやって愛する人の死と折り合っていけ
ばよいのか。そこには極めて人間的な理由があるはずです。どうやって愛する
人の死と折り合っていけばよいのか。愛する人がいない現実に納得するにはど
うしたらよいのか…。
「震災で亡くなる」というのは「病院で亡くなる」のとは違います。なぜなら
残された人たちに準備する時間を与えないからです。ある日突然、何の予告も
なく、目の前からいなくなってしまう。これでは心の整理もつきません。現実
を受け入れる過程の中で「風の電話」が必要なのです。

​「映画『風の電話』より」​

(主人公が「風の電話」で行方不明のままの家族に語り掛けるシーン) ​

 「風の電話」を題材に、授業ではどんなことを議論しますか、という問いに対して、教授は次のように答えている。

 死者を悼むというのはどういう行為が、人間にとってどのような意味を持つのか、ということを仏教の考え方や儀式についての知識を織り交ぜながら教えるつもりです。その上で、「東日本大震災の記念碑を建てるとしたら、どんな記念碑をどこに建てますか」という質問について議論してもらいます。

 最後にイアン・ジャレッド・ミラー教授は日本人の強みは「人情」、日本の民主主義の伝統も興味深いという。世界の中でも日本は最も長く民主主義を守り続けている国家の一つ。ただ、日本にも帝国主義の時代、社会的不平等が拡大した時代など、「負の歴史」がある。こうした日本に二面性に向き合いながら、今後もハーバードの学生に環境史やエネルギー史を教えていきたい、と結んでいる。

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Last updated  2021/05/20 05:51:58 PM
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