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Shige & Happy の 気まぐれ写真日記

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Shige&Happy@ Re[1]:実践しているデンタルケア(12/24) mabo400さんへ 一旦始めると、毎食後やら…

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2021/06/02
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テーマ:日本史(1738)
カテゴリ:日本史・世界史
​​​​​渋沢栄一をめぐって…

 「ハーバード日本史教室」(佐藤智恵 中公新書ラクレ)」を紹介するシリーズの2回目でジェフリー・ジョーンズ教授へのインタビューを紹介した。その中では世界最古の企業「金剛組」などを取り上げた。今回は、その回で書ききれなかったことを続編として紹介する。

​↓ハーバード日本史教室~②(3/1)へは下をクリック。​

 1902年、渋沢栄一はセオドア・ルーズベルト(1901年~1909年)に会った。そのとき、ルーズベルトは日本の美術と軍隊を称賛し、日本の経済には触れなかった。渋沢は次回は称賛されるよう頑張ると答えた。ルーズベルトはこの渋沢の言葉に感銘を受け、ニューヨークやワシントンの友人たちに渋沢を紹介した。

 1915年、サンフランシスコ万国博を視察した際、渋沢はニューヨークを訪ねてルーズベルトに再会する。この時ルーズベルトは日本経済について次のように称賛したという。

(以下引用)
 「日本経済の発展は素晴らしい。特に日本の経済システムはアメリカの
 システムを模倣したものなのに、アメリカよりも優れている。」
    ​※「ハーバード日本史教室」(佐藤智恵 中公新書ラクレ)」より​

 しかし、日本人移民問題では意見が対立した。渋沢は「日米紳士協約(日本からのアメリカへの移民を制限)は、世界平等主義の観点から問題ではないかと言った。ルーズベルトは「日本人は粗野で教養が無い。出稼ぎに来てカネを貯めたら帰ってゆく日本人移民は歓迎できない」と話したという。この考えは現在(2017年当時)のトランプ政権をほうふつとさせると、
ジェフリー・ジョーンズ教授は言っている。

「ジェフリー・ジョーンズ教授」

(岩崎弥太郎や渋沢栄一について大変よく研究している)
     ​※「ハーバード日本史教室」(佐藤智恵 中公新書ラクレ)」より​

 著者(佐藤智恵)は、渋沢栄一ならトランプ大統領にどんな助言をするだろうかと訊いている。 これに対しては次のように回答している。(以下引用)

 トランプ政権が進めている政策には、何一つ賛成しないと思います。
そも
そも渋沢は国家主義者ではありません。彼は自由貿易の信奉者で
あったし、
ヒト、モノ、思想が自由に行き交うことが、世界の人々の
繁栄につながると、
信じていました。
 渋沢は、明治の日本にとってリベラル資本主義、グローバル化を推進するた
めの原動力でした。世界中を訪問し、国際的な視点を持っていた
渋沢は、西洋
と日本の差を目の当たりにし、世界に追いつこう、世界経
済の中で、日本の存
在感を高めようと必死でした。
 もし今ここに彼がいたら、世界から再びリベラル資本主義が失われつつある
のを見て、「これは私が生きていたころのデジャブじゃないか」「同じ
ことを
繰り返しているなんて悪夢ではないか」と嘆くでしょう。
    ​※「ハーバード日本史教室」(佐藤智恵 中公新書ラクレ)」より​

 続けて著者(佐藤智恵)は次のような質問をしている。「だから現在欧米の研究者が渋沢栄一について熱心に研究しているのでしょうか」
 
(以下引用)
 移民排斥の問題だけでなく、世界の格差問題をどう解消するか、という点から
も、渋沢の考え方は注目されているのです。グローバル資本主義の
もと、貧富の
格差は拡大するばかりで、今、多くの人が貧困に苦しんでい
ます。特にこの問題
が深刻になってきたのは、ここ30年のことですが、
渋沢の「合本主義」が一つ
の解決策として再び関心を集めているのです。
 とくに彼が晩年、「日本は悪い方向に向かっている」と警告を発したことは注
目に値します。
      ​※「ハーバード日本史教室」(佐藤智恵 中公新書ラクレ)」より​

 彼の死(1931年)後、日本は経済の格差を拡大させ、国粋主義が台頭して外国と数々の戦争をする。企業間の公平な競争は排除され、独占企業がはびこってゆく。政治は「大政翼賛会」、労働運動は「大日本産業報国会」に集約され日本は破滅に向かう。この筋書きは多くが知っているとおりである。

 「なぜ今、世界は渋沢から学ぶべきか」という質問に対しては…

 (以下引用)
 明らかに、現在の資本主義は正当性を失いつつあると私は思います。この経済
システムが正しく機能しているとは思えません。
 渋沢が理想として掲げていたのは、倫理的な責任感を持った株主資本主義です。
彼は資本主義の価値を信じていましたが、勝者と敗者の格差
を助長する経済シス
テムは、人々から支持されないと考えていました。
国が豊かになり、一部の人に
富が集中すれば、必ず問題が起きます。この
問題に正しく対処できなければ、資
本主義は正当性を失ってしまうのです。
 これはまさに現在私たちが直面している問題です。貧富の格差は、30年前から
どんどん拡大し、もっと早く渋沢の考えに目を向けるべきであったと思います。
    ​※「ハーバード日本史教室」(佐藤智恵 中公新書ラクレ)」より​

 引用が多くなったが、NHKの大河ドラマ「青天を衝く」は渋沢栄一が主人公である。書店には渋沢に関する書籍が並び、今まさに時の人になった。多くの銀行創設にかかわるなど「日本資本主義の父」と言われた渋沢栄一。世界の歴史学者が渋沢の功績を再評価している。我々自身ももっと渋沢について知るべきだろう。

 2024年から一万円札に渋沢の肖像が採用される。単にお札の人というのではなく彼の業績に目を向けたい。また、渋沢が1926年と1927年のノーベル平和賞の候補になっていることにも注目したい。

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Last updated  2021/06/05 04:22:28 PM
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