|
テーマ:世界経済(47)
カテゴリ:日本地理・世界地理
途上国の経済発展、貧困解消のために
資本主義のもとでの市場経済の原則では、発展途上国の零細な生産者は、世界規模で展開する大企業との取引で弱い立場に置かれる場合が多い。それを放置していると、途上国の農家や生産者の生活向上は望めない。また、低賃金労働や児童労働、乱開発による環境破壊を引き起こすことにもつながっている。 そこで、発展途上国の製品を適正な価格で継続的に購入して、途上国の生産者を支援しようという動きがあらわれた。この仕組みをフェアトレードという。「公正取引」と訳されることもある。 「フェアトレードのコーヒー」 (日本ではスターバックスやイオンがコーヒー豆を販売している) 国際的な貧困対策、環境保護を目的とし、アジア、アフリカ、中南米などの発展途上国から先進国への輸出において、フェアトレードが取り組まれている。主な品目としてはコーヒー、バナナ、カカオのような食品が多いが、衣服やアクセサリーなども取り扱われることがある。そのために、各国で支援団体が結成された。 フェアトレードは、経済的な支援につながり、途上国の生産者や労働者の権利を守り、知識や技術の向上にもつながる。日本では、1986年に株式会社プレス・オルターナティブが「第3世界ショップ」を立ち上げたことから始まった。 「フィンランドのフードショップ」 (フェアトレードマークのついた多様な商品が並んでいる) フェアトレードの動きは生活協同組合で広がった。1990年代にはフェアトレードショップが増え始めた。2002年にスターバックスがコーヒーの販売を始め、2003年にはイオンがフェアトレード・コーヒーの販売を始めた。 「近年は教科書にも登場している」 (「社会科中学生の地理」~帝国書院:2020年) しかし、現状では、フェアトレードの運動はその理想通りには機能していない。その問題点としては次のようなことが挙げられる。 途上国の産品の多くが零細な生産者によって生産されていて、大量生産ができず価格が高い。また、支援団体も資金力が乏しいためコストがかかる。 工場産品と違って手作りであるため品質が安定しない。中には市場で受け入れられる水準を満たしていない場合もある。 大量生産による規格品に慣れている先進国の消費者からは、商品の品質とは関係ない規格の不揃い、包装の乱れなどが不評の一因となっている。 品質の向上や規格の統一のためには、生産国の技術向上が大切だ。しかし、基本的にはフェアトレードは経済面における支援活動と考えるべきだ。個人で参加できる途上国支援と考え、フェアトレード商品を買う人が増えることを望みたい。 最近、アメリカのギターメーカーTaylor(テイラー)のギターを買った。Taylor社では、自然保護や途上国の経済発展への寄与を会社の方針としている。このことについては、この後の記事で紹介する予定だ。 ↓ランキングに参加しています。良かったらクリックをお願いします。 写真日記ランキング お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2021/12/01 11:38:12 AM
コメント(0) | コメントを書く
[日本地理・世界地理] カテゴリの最新記事
|