平和集会で伝えたこと(8/6)

2022/08/06

県北の中学校にて

県北のある中学校から「人権教室」開催の申し込みがあった。8月5日、夏休み中の登校日に実施する「平和集会」で講話をしてほしいとのこと。

　小中学校の多くが広島原爆の日の8月6日を登校日にしている。広島原爆忌を「平和集会」の日としてきたからだ。かつては、暑い中に暗幕を張った体育館に全校生徒と先生が集まり、汗を流しながら「はだしのゲン」、「黒い雨」、「父と暮らせば」など、暗いイメージの映画を観た。そのあと生徒に感想文を書かせていた。

　これだと、戦争の非人間性や悲惨さを教えることにはなる。でも少し疑問もあった。戦争を批判するだけの「反戦教育」に終わってはいないか。そしてまた、長年続けてマンネリ感もあった。最近中学校では、生徒会が戦争や原爆について調べたことを発表することも行われている。生徒目線で考えさせることは大切だ。

「全校生徒が前後左右4-5mほどの間隔で」

(この日前後から当市の感染者数(特に10代未満と10代)は増える一方だった)

　自分は「平和はいつもそこにあるものではない」と思う。「平和は護るものではなく、自分たちが創り出してゆくもの」とも思う。だから例えば、「あなたは、あなたの学校は平和ですか？」と問いたい。このように、「平和教育」は身近なところから始めたい。

　具体的に言えば、「まわりに悩んでいる、困っている人はいませんか？。もしいたら声をかけたり、手を差し伸べたりしていますか？」ということだ。身の回りに気を配り、お互いを思いやり支え合うことが平和への第一歩だと伝えたい。　

「あなたの学校は平和ですか」

(ここで挙手を求めた「平和と思う人？」、ほとんどが手を挙げていた)

　この学校は今年は学年ごとに、戦争や平和をテーマに新聞を作る活動に取り組んだという。生徒玄関に掲示された新聞を見せてもらった。やや稚拙な面があったが、ネットから拾った文章ではなく中学生目線で書かれていた。また、学年内でアンケートを取って、その結果をもとに考察するなど良い面も見られた。

　そこで講話の組み立てを考える中で、次の3点をもとに構成した。

　第1に、生徒が作成した新聞に対して、良い点を評価してあげる。

　第2に、平和は身近な人たちへの思いやりから始まることを伝える。

　第3に、世界の諸問題については、まず知ることから始めようと伝える。

　そして第3点に関して、浜田省吾の「A NEW STYLE WAR」を聴かせることにした。いろんな学校で講話の最後には歌を聴かせたり一緒に歌ったりしてきた。今回は、少し中学生には難解な点もあるが、36年前に作られた歌が、余りにも見事に、現代世界の矛盾や問題点をあぶり出しているからである。

「『A NEW STYLE WAR』の歌詞を説明」

(この曲がたった三つのコードでつくられているというのもすごい)

　歌詞の言葉だけでも次のようなものがある。「テロ、軍事衛星、貧困、差別、暴力(内戦、紛争、戦争)、原子力発電所の事故、自由(民主主義を奪われた人々）、(権力者の意図に左右される)正義」、これらをすでに36年前に歌っている。

　広島に生まれた被爆2世の浜田省吾には、この歌の他にも、暴力や戦争、貧困、南北格差などをテーマにした歌がある。しかも単なる「反戦歌」ではない。諦めでもないし、対決でもない。もっと大きく、この世界に生きる人間の存在の危さを描いている。それは歌詞の中の単語や文節の重さや深さから伝わってくる。

　中学一年、二年生には「A NEW STYLE WAR」の歌詞は難しすぎる。そこで、歌を聴かせる前に、スライドで歌詞を投影してその意味を説明した。そして、ライブ映像を流すときにも歌詞を同時に投影した。

　生徒達は、「A NEW STYLE WAR」を聴いてどんな反応を示したか。残念ながらコロナ対策でマスクをし、無言で聞いているだけだったので全く分からない。

　後日、感想文が届く。生徒たちは、浜田省吾の歌や自分の話にどんな感想を持っただろうか。それが楽しみなようで怖いようでもある。

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Last updated 2022/08/10　04:53:41 PM
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