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テーマ:教育問題について(404)
カテゴリ:アーカイブスシリーズ
頭痛の種は?
今から20年以上前、校長から正式内示より2カ月以上も早く昇任の内示を聞いた。校長としても、ずっと隠しておけずフライイングしてつい口走ったようだ。 しかし、自分はそれ以来ずっと今までに感じたことのない頭痛を抱えてしまった。あまり続くので、脳外科でMRI検査をしてもらった。ドクターの所見は、「何も問題ありません、最近何か大きなストレスを受けていませんか?」だった。 頭痛は続いていたが年度は変わり、2001年4月1日、新しい学校に赴任した。新学期の諸会議や事務を慌ただしくこなしているうちに、いよいよ気になっていた4月9日がやって来た。いよいよ学校長として式辞を話さなければならない。 「新任校長として赴任したY中学校」 (当時生徒数は約200名くらいだったが、少子化で今は他の2校と統合している) これがまず最初の、新任校長の通過儀礼なのだ。あとでわかったが、誰でも初めての入学式式辞では苦労しているようだ。話すのが商売だといっても新入生、保護者、来賓など多くの人の前で話すのは特別緊張するものなのだ。 式辞の内容はどうするか、考えながら行った本屋さんでイチロー選手の伝記を見つけた。2001年は、イチロー選手がか輝かしい日本プロ野球界での事績を引っ提げ、大リーグに挑戦する年だったのだ。そうだ、イチロー選手の話にしようと決めた。そして、入学式を迎えた。式は担当者の進行で粛々と進み、いよいよ自分が話すときが来た。頭痛はずっと続いていた。 ※以下は、学校だより第1号で紹介している式辞の概要である。 イチロー選手は、日本のプロ野球でこれまで誰も達成しなかった1シーズン200本安打を、プロ野球入団3年目、なんと20歳の時に達成しました。そして、その年から昨年まで、7年連続首位打者に輝きました。イチロー選手は小学三年生で愛知県豊山町のスポーツ少年団の野球部に入部してから、ずーつとプロ野球の選手になるという目標を持ち続け、こつこつと努力を重ねました。 イチロー選手がここまでのスーパースターになった陰には、彼に野球を教えてくれたお父さんの存在があります。スポーツ少年団の練習は週に一回だけでしたので、それにあきたらないイチロー少年は、ある日お父さんに言いました。「学校の授業ガ終わったらすぐに帰ってくるから、お父さん、ぽくに野球を教えてちょうだい。」お父さんは言いました。「そうか、あまえがそれほどまでに野球をやりたいのなら夕方から相手をしてやうう。けれどもどうせやるなら本気で最後までやりとげなけれだばだめだぞ。約束できるか。」 その日から、親子の練習が始まりました。この練習は、高校時代まで野球をやった経験のあるお父さんのたてた練習計画にそって、午後3時すぎから6時過ぎまで、毎日続けられました。そして、夕食を食べてから午後8時過ぎになるとパッティングセッターでの打撃練習に通いました。ここまで練習に打ち込めたのも、野球が大好きだったということと、プロ野球選手になるという強い目標を持っていたからでしょう。 愛知県の豊山中学校に進学したイチロー選手は、野球部の中心選手として活躍しました。3年生の時はピッチャーで4番バッターで、チームは全国3位という好成績を残しました。では、イチロー選手が頑張ったのは野球だけかというと、実は彼は学習成績の面でも200人中10番以内という成績をとっていたそうです。中学3年生の時の城石須賀子先生はこのように話しています。 「一度、イチロー君が英語の宿題を忘れてきたことがあるんです。当時彼は野球の試合で大活躍する中学校のスター選手でしたし、練習も厳しい。疲れていると思って、今日の宿題はやってこなくてもいいよ、というと、彼はむっとした表情になって、いいえやってきますと、翌日はちゃんとやってきましたね。有名選手だと甘えさせられるのが自分自身許せなかったのでしょうね。」 このことは、一つのことに目標を持って取り組んでいると、他のことにも意欲が湧いてくるということを教えてくれます。努力ということについて、イチロー選手はこのように言っています。 「そりゃ、ぼくだって、勉強や野球の練習は嫌いですよ。だれだって、そうじゃないですか。つらいし、たいていはつまらないことのくりかえし。でも、ぼくは子どものこうから、目標をもって努力するのは好きなんです。だって、その努力ガ結果となって出るのはうれしいじゃないですか。」 どうか、新入生のみなさん、今日から始まる中学校生活、是非「目標を持ち、それに向かってこつこつと努力する人になってください。」あいさつでもいい、掃除を心をこめてでも、毎日読書十ぺージでも、毎日英語単語を一つ覚えることでもいい、できることから取り組んでみましょう。 ざっと、こんな感じで話をした。話を終え一年生が担任に引率されて教室に入っていって無事入学式が終わった。校長室に戻られた来賓の皆さんに参列戴いたことへのお礼を言っているうちに、ふと気づいたことがある。 なんと、この2カ月悩まされていた頭痛がまるでうそのように消えていたのだ。頭痛の原因は昇任に関わる諸々のストレスだったのだ。式辞を話し終えて、入学式が無事終わった時にきれいに消えていたのだ。 「玄関前でのあいさつ運動」 (Y中学校、学校だより第2号から) ストレスが人に与える影響を身をもって知った。自分はこれ以降もいろんなストレスの中に身を置くことになったが、その症状は慢性的な不眠と肩こりだった。 ちなみに、マリナーズに移籍したイチロー選手は、242安打という新人最多安打記録を更新し、首位打者・盗塁王を獲得した。素晴らしい成績を一年目から残した。 ↓ランキングに参加しています、良かったらクリックをお願いします。 写真日記ランキング お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2022/08/15 03:03:32 PM
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