<1983年>映画「戦場のメリークリスマス」
【スタッフ】監督=大島 渚 原作=ローレンス・ヴァン・デル・ポスト『影の獄にて』 脚本=大島 渚 ポール・メイヤーズバーグ 撮影=杉村博章 美術監督=戸田重昌 撮影監督=成島東一郎 編集=大島ともよ 音楽=坂本龍一 助監督 =リー・タマホリ 【キャスト】デヴィッド・ボウイ =ジャック・セリアズ 坂本龍一 =ヨノイ大尉 ビートたけし =ハラ軍曹 トム・コンティ=ジョン・ロレンス ジャック・トンプソン=ヒックス 内田裕也 =拘禁所長 ジョニー大倉 =イトウ憲兵中尉 室田日出男 =ゴンドウ大尉 戸浦六宏 =軍律会議通訳 金田龍之介 =軍律会議審判長 三上 寛 =イトウ憲兵中尉 内藤剛志 =イワタ法務中尉 アリステア・ブラウニング=デ・ヨン ジェイムズ・マルコム =セリアズの弟 クリス・ブラウン =セリアズ(少年期) 【あらすじ】1942年、日本統治下にあるジャワ島レバクセンバタの日本軍俘虜収容所朝鮮人軍属『カネモト』がオランダの男性兵『デ・ヨン』を犯す日本語を解する俘虜(捕虜)の英国陸軍中佐『ジョン・ロレンス』は、ともに事件処理にあたった粗暴な軍曹『ハラ』と奇妙な友情で結ばれていく一方、「ハラ」の上司で所長の陸軍大尉『ヨノイ』は、 日本軍の背後に空挺降下し、輸送隊を襲撃した末に俘虜となった陸軍少佐『ジャック・セリアズ』」を預かることになり、その反抗的な態度に悩まされながらも・・・・彼に魅せられてゆく同時に「カネモト」と「デ・ヨン」の事件処理と 俘虜たちの情報を巡り、プライドに拘る空軍大佐の俘虜長『ヒックスリー』と衝突する東洋と西洋の宗教観、道徳観、組織論が違う中・・・・各人に運命から届けられたクリスマスの贈りものが待っていた --------------------------------【大島渚】作品の特徴(ウィキペデァより)安保闘争を描いた『日本の夜と霧』(1960年) 死刑制度を扱った『絞死刑』(1968年)冠婚葬祭を通じ戦後民主主義を総括した『儀式』(1971年)等、その高い社会性や政治性が特徴で、権力機構に侮蔑される人間の屈辱感を描き、権力に闘争的に対峙する姿勢を貫いた70年代後半からは検閲への抵抗と日本映画史に前例のないハードコアポルノへと傾倒『愛のコリーダ』(1976年)や『愛の亡霊』(1978年)を日仏合作で発表また、役者を本業としない 素人に近い新人俳優を起用 『戦場のメリークリスマス』の「ビートたけし」「坂本龍一」「内田裕也」 『愛のコリーダ』の「松田暎子」 『無理心中日本の夏』(1967年)の「桜井啓子」『日本春歌考』(1967年)「荒木一郎」 『新宿泥棒日記』(1967年)の「横尾忠則」 『帰ってきたヨッパライ』(1968年)では「ザ・フォーク・クルセダーズ」 『夏の妹』(1972年)の「栗田ひろみ」等また 大島に影響を受けた映画監督は「テオ・アンゲロプロス」「ベルナルド・ベルトルッチ」「アレクサンドル・ソクーロフ」「マーティン・スコセッシ」「ペドロ・アルモドバル」「チェン・カイコー」など 『戦場のメリークリスマス』に出演、映画監督となった北野武も ----------------------------------------【デヴィッド・ボウイ】(David Bowie)本名 David Robert Haywood Jones, 1947年1月8日生まれの69才 今年年1月10日 亡くなった 2000年、雑誌『NME』がミュージシャンを対象に行ったアンケートで 「20世紀で最も影響力のあるアーティスト」に選ばれた --------------------------------昨夜 BS朝日「ザ・ドキュメンタリー」闘い続けた男!大島渚 ~盟友田原総一郎がたどる~を 午後6時から3時間スペシャル番組を観たのだが 久しぶりにTVに釘付けだった2013年1月15日 80才没 その壮絶な激動の人生を写した「大島渚」監督の半生記録 改めて知った その類い稀な才能と 鋭敏な芸術的感覚 圧倒的な精神力を持って映画を撮り続けた 将に最先端を走りぬいた 日本が誇るべき映画監督であった事を認識させられたその「大島渚」監督が やはり今月10日に69才で亡くなった「デヴィット・ボウイ」を主演に撮った映画「戦場のメリークリスマス」 二人に追悼の意を込め再度観てみましたその昔に観た時には 正直言って 面白い映画とは思へませんでした むしろ はなからオランダの軍人に性的暴行を加えた日本人憲兵(ジョニー大倉)に切腹させ それを ハラ軍曹(たけし)が斬首するという ショッキングな話で始まり・・・・また 妙に可愛いいというか なよなよとして 端正な役者顔のヨノイ中尉(坂本龍一)が英国空軍大佐(デヴィット・ボウイ)に 徐々に惹かれていき 更にその英国大佐がヨノイ中尉にキスをする異常さに 「なんだァこりゃあ?」と 吃驚してしまい・・・・更に 日本軍人達の 死にかけてる病人等を含めた捕虜たち全員を集めてする暴力行為は 酷く又 戦争時なのに 戦闘場面が一度も現れないし・・・・と いうような訳で・・・・しかし あの「大島渚」監督のドキュメンタリー番組を見た後 今回鑑賞した「戦メリ」はなんとも格調高く 戦時中の軍人たちの 非人導的な言動から その内面を映しだして それも 「デヴィット・ボウイ」「坂本龍一」「たけし」「内田裕也」など 俳優が専業ではない役者に演じさせ 画面に緊張感と斬新さをもたせ その彼らが 後世に其々 世界に通用する一流有名人に育っていくことを見ぬく慧眼を持っていた事を証明もした同様の状況下 英国軍人の体験で描かれた映画 2014年「RAIL WAY 運命の旅路」 や1953年「戦場に架ける橋」と比較しても まったく違った視点で描かれており遜色ないこの映画の話が出る時 必ずかかる坂本龍一のあのメロディーと 上のタイトル画像にある涙目で笑顔の「たけし」の顔と 「メリー・クリスマス ミスター・ローレンス」が どんな意味を持っているのかを知って この映画の深さが解り 感動が蘇ります 全てが流石な映画でした・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 「デヴィッド・ボウイ」亡くなる二日前の写真が公開されていました