交わした言葉
土日、行ってきました。実家近くのインターまで高速バスで移動して、そこに兄が迎えに来てくれて。久しぶりに会った兄はマッチョになってました(゚Д゚≡゚Д゚)筋肉ぅぅぅ!!一緒に昼食を取った後、いったん実家に荷物を置き、ばっちゃんのいる病院に…白い空間をぺたぺた歩いて、病室にはいると、そこには小枝のように細くなってしまったばっちゃんがいた。一瞬、止まりそうになった。そのまま近くに行って、話して。子姫と私に「よう来てくれたなぁ」ってばっちゃんが言ってくれて。ベッドサイドには、大きな点滴肺に、腸に、チューブが繋がってて。兄は予定があるので、夕方迎えに来てくれるということで私たちはばっちゃんと三人、そこで過ごした。子姫が作った、ばっちゃんへのお土産。時間がたつとちょっと具合が悪そうな感じになって、少し眠れる?と聞いてその間に病院近くにある親戚のお寺に行くことにしました。空はどこまでも青く、怖いぐらいに深い色をしてた。東京の色とは比べ物にならない、色。懐かしい、色。お寺で本堂にお参りして、親戚にあいさつしたりした後そっと、数年ぶりにとある位牌の前に、静かにお供え物を置いた。あれから止まったままのはずだけど、あれからの年月を足して喜びそうな、もの。子姫と歩きながら、素手でセミを捕まえてあげたりして…(すぐ逃がしましたが)病院に戻って、いろんな他愛のない話をしてたらばっちゃんがトイレっていうからカーテン引いて少し離れていた。でも、何だかおかしくて、はいると座ったまま洗面器におう吐しているばっちゃんがいた。看護婦さんは呼ばなくていいっていう。終わってから呼ぶっていう。だから、隣で背中をさすろうと手を伸ばした。なんて、なんて細い背骨。まるで背中の中心に木の枝があるように盛り上がった骨。形も全部わかる肉が全くないのだ。はっとした。涙が浮かんだ。無言のまま、そっとさすり続けた。落ち着いたころ、看護婦さんに諸々を持って行ってもらって横になったばっちゃんの立膝になった脛に触れた。本当に…細くて…子供より細くて。小枝を枯れ葉でくるんだ、とでも言えば伝わるのだろうか。あたしは何も言えずずっと撫でつづけばっちゃんも無言のまま、眼を伏せてた。しばらく静かな時間が続いて子姫は「ママはどうして泣いているの」って首をかしげた。ばっちゃんが口を開いて、言った。「来てくれてありがとう。もう、長くないけ、次に何か具合が悪くなったとしても もう来んくていいけん…大丈夫ばい、もう会えたけん最後でよかよ。」って。あたしの涙腺が崩壊してしまったばっちゃんの目頭にも、透明な涙がじわっと浮かんできた。そんなこと言わないで、どうか言わんのって。あたしにはばっちゃんしかおらんのよ。なんかあったらまた来るけん。って言ったけど「次は、多分もう、生きてないけん」て。「ばあちゃんはもう生きた。あんたは自分の子供ば育ててあんたの家庭を生きなさい」って。そうやって命は、繋がっていくのにこんなに悲しい。伝えたかったアリガトウ達は言えたけどごめんねも言えたけど全然すっきりするはずもなく、むしろどうしようもないこの状況が、悲しかった。突っ伏して動けないばっちゃんはきっとあたしたちがいたら休めない。ばっちゃんも「せっかく来たんに、病人のところにおらんで家に行ってゆっくりしなさい」って。兄に電話をかけて、早めに迎えに来てもらった。また明日来るからねってベッドから離れる時、どうしようもないほど、気持ちが、こう、ぎゅうっと。階段を降りるとき、ばっちゃんのスリッパはいたままだったことに気が付きそっとベッドの方に音を立てぬように戻って靴とすり変えてたら、ばっちゃんの目が開いた。真っ赤な鼻のまま、「忘れとった~」って笑って見せたらばっちゃんも少しだけ笑った。実家に戻る途中で買い物して、家について夕飯を作ってた。久しぶりに、あそこで食事の準備した。柱には、成長の跡あたしら兄弟の身長に交じって、親戚の子のも子姫のもあるんだよ。じっちゃんとばっちゃんの部屋にはあたしが中学生の時に、老眼になってきたじっちゃんに作った時計がまだかかってた。懐かしい…基盤を組みながら、すっごく楽しかったっけ。まだ使っててくれてありがとう…父と内縁の奥さんも帰宅して、子姫は楽しそうに遊んで…そして、お風呂に入った後に花火を持って、寝る前に少しだけの花火。父は線香花火が大好きで、父と子姫とあたしで玉落とさないように競争。あたしの勝ち!!って笑いながら、儚い火花を眺めて。子姫が手持ち花火をしている時次の花火を渡しながら「終わった花火は下に落として~」って言ったら何故かあたしの手の上に置いた子姫( ゚∀゚)・∵アッチィーーー!じ、丈夫だからいいんだけどね、あたしはw歯磨きさせて、父たちの部屋で4人で寝る事になって。子姫が眠った後、父の仕事の話とかを聞いてた。次の日になって、午前中の内に子姫を遊ばせることにして私が子姫くらいの頃、いつも一人で遊んでいた場所へ連れてった。(といっても裏の川だけど。)じっちゃんの珈琲作りを手伝ってたらじっちゃんがぽそっとあたしに言ったんだ「ばあちゃんの写真は撮れたね?」じっちゃんは写真が大好き@あたしはじっちゃんに似たのかもばあちゃんの写真を撮りたくてたまらないじっちゃんだけどどうにもこうにも言えなかったみたい。前、違う理由で入院してた時は病室にカメラ持ち込んでばっちゃんを撮りまくってたんだけど今回はこんなになってしまったばっちゃんに何も言えなかったみたい・・・私も撮りたいって言えなかった。そういったらじっちゃんは目を伏せながら「いつもカメラを持って行くけど、撮らせてっち言えん。 寝てる顔を撮ろうかと思った時にはカメラを忘れとる」そういって、苦笑いした。だから、日曜は撮らなきゃと思った。子姫がいるから、悪いけどだしにでもして写真を残さないと、と。このままじゃ、もう・・・ね・・・だから。聞いてみて、嫌がったら即引きさがろうとは思ったけど…兄は消防で一日居ないので、じいちゃんと父の準備ができてからみんなで病院に行った。ばっちゃんは、物凄く具合が悪そうに横たわってた。父の姉が直前までいたらしいんだけどきつくて話せなかったっていうのを聞いて、私も長居しない方がいいなって思った…傍にいたくても、でも逆にそれがばっちゃんの体力消耗につながっちゃう。写真、悩んだけど聞いてみた。子姫がばっちゃんと写真撮りたいって言ってたから、撮らせてほしいって。いやなら無理しなくていいよって言ったらぐったりしてたばっちゃんが起き上がった。ね、寝てていいから!って言ったけど、せっかく写真を撮るなら起きるよって頑張って起き上がってくれて。子姫と撮った後、さりげなく「じいちゃんと一緒のも撮っとかない?」と流れをつくってじっちゃんに横に行ってもらった。無口なじいちゃんだけど、顔には出るんだよ。もうね、顔中が嬉しそうだった。じっちゃん。どのくらいぶりに、二人は並んで写真に写ったんだろう。あたしも嬉しかった。それから父と内縁の奥さんも入ってもらったりして、みんなで写ったりして。ばっちゃんは急に、立ち位置を仕切ったりして、まるで何かせかされでもするかのような剣幕で。@じっちゃんタジタジその間、ほんの5分程度だけど…全員で写れたあと、実家に戻ることになった。父の姉が実家で待っているらしい。みんな「じゃぁ・・・」と出口を見るあたしは、頭の中が「これが最後でいいのか」で一杯。ばっちゃんの手を握ってみたけど、何の言葉も浮かばなくてただ、何度もまた来るからしか言えずに。ばっちゃんは「もう来るのも大変じゃけん、最後でよかし、もう長くないけん、次はもう…」って。もうの先を遮って、「また来るけんね」って言うとばっちゃんはまた静かに泣いてあたしも苦しくなって涙が浮いた。わかってる、でも、また来るけんって言わせて。夕方にもう一度きたら、少しは元気かも知れないって思ったけどきつそうなばっちゃんを見て、やっぱり控えようと思った。ばっちゃんが兄に頼んでて、兄から渡された封筒はかなりの金額が入っていた。(飛行機往復代ほど)ばっちゃんがなんて言っているのかよく聞こえなかったけど封筒は郵便貯金のものだから、誰かに頼んでおろしてきてもらったものかも知れない。(ほかの家族には内緒だったことからして)こんな時まで、ホンとこんな時まで、ばっちゃんはなんでこんなに。「あんたはもう、自分の家庭をしっかり作っていかな」って、その言葉が痛い。痛くて、悲しくて、でも後ろから愛でドンっと押すような強い言葉。あたし、は、何がしてあげられたんだろう。ずっとずっと、育ててもらったのに。誰より近くで育ててもらったのに。そればっか考えて。去り際振り返ったベッドには、ゆっくりと寝そべっていくばっちゃんとほっぺにキラリ。スローモーションみたいに焼き付いてて。家について父の姉さんたちに会った。親戚にあたる兄ちゃんと、その子供に会った。2歳ほどで、かわいい盛りで、あたしはハイハイで追いかけては大笑いさせて食事の時間は子姫と一緒に並んで貰って、食べるのをサポートしたり。馬鹿みたいに明るく明るくけど、頭の中で漠然とこうしてつながれていく命、っていう言葉が回ってた。セツナイ。←参加中です(ペコリばっちゃん、大好きって、まだまだ言い足りないのに…時間が流れるのはあっという間です。東京の家に帰り着いたのは、今日の午前1時でした。長々と書いてしまった…それでも短いくらい。子姫を連れて、あたしの昔の秘密の遊び場行った話はまた次回にでも…。**********************************本家サイト→【蒼月の雫】